チケットを貰ってから月日はあっという間に過ぎていき、遂に公演の日になった。別に話しができるとは思ってないけどやはり緊張する。どこに座ってたって見えないと知りつつも少しお洒落をして時間に余裕を持って家を出た。メールアドレス知ってたら頑張れでも何でも送れたのにと後悔しつつも、どうせ聞こうとしたらまたそれで緊張して聞けなかっただろうなぁと気づき軽く落胆。俺っていつからこんなにチキンになったんだっけ?

バスに乗って会場に着くと、ホールには既に沢山の人が入っていた。あと何分で始まるんだろう。篠崎さんは一体どんな格好で出てくるんだろう。期待がどんどんと高まり心臓の鼓動が早くなっていく。その時開演5分前のブザーが鳴った。いきなりだったので少しびっくりして軽く飛び上がってしまった。いけない、こんなところを篠崎さんに見られたらクラシック初心者だとばれてしまう。俺は呼吸を整えステージを見た。すると袖から楽器を持った人達が沢山出てきた。篠崎さんはどこだろう、そう思っていたら発見。あのトップに座っているのが篠崎さんだ。名字さんはサラサラの長い髪を下ろしていて、白いふんわりとしたブラウスに黒の長いロングスカートをはいていた。いつもとは違う格好でこの距離からでもドキドキする。そうこうしているうちにチューニングが始まり、やがて指揮者が登場し演奏が始まった。演奏はとても素敵だった。流れるような旋律が頭の中を駆け巡り、幸せな気分に浸れた、けれど。それ以上俺を掴んで離さなかったのは、やはり篠崎さん、この人だった。





100517


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