昼休み、友達とお弁当を食べ終わりダラダラと喋っていると、幸男が吹奏楽部の部長さんと話しているのが目に入った。部長会の話か何かだろう。吹奏楽部の部長と言えば可愛いと入学式当初から有名だ。そういえば昔、あの子が幸男を好きだっていううわさが流れてたことがあったけど本当だったのかなあ。相変わらず幸男は目も合わせず相槌だけを打っているのが見てとれる。わたしと幸男の関係は2年かけて築き上げた賜物である。


「何ニヤニヤしてんのよ」
「えっ」
「彼氏が学年のマドンナに話しかけられてるってのにニヤつくのはあんたくらいよ、まったく」
「あはは…」


確かにな、と指摘されて思った。我ながらデレデレである。最高学年になった今年、彼女が文化祭のミスコンで優勝するのは規定路線だろう。ミスターのほうは…黄瀬か。いいじゃん、お似合いだね美男美女。と勝手に頭の中で自己完結させた。まあ、わたしは幸男が一番だけどね。投票は……しないけど。注目されたらそれはそれで、うん。寂しいところがあるもの。みんなの一番じゃなくて、幸男はわたしの一番であればそれでいいや、とこれまた勝手に自己完結させた。

彼女が去ってから、なんとなく楽しくなって幸男の元へと向かった。わたしにとってもみんなにとっても大きな背中が少し垂れ下がって、緊張が解けたのがわかった。


「かーさーまーつー」
「なんだよ」
「ねえ、明日お昼一緒に食べよ?」
「……誰か呼べ」


まあ、そうなるよね。別にいいんだけど!わたしも学校でイチャイチャするのは好きじゃないし(弁当を食べるだけでイチャイチャとは言わないと思うけど)、ただ笠松の困った顔が見たかっただけだし。うふふ、とわざと声に出してにやけてみたらお腹にグーパンを入れられた。仮にも彼女の腹にパンチとは何事だ。とりあえず黄瀬くんに明日お昼一緒にどう?とメールをすると10秒で返事が帰ってきた。これでいいでしょ?とドヤ顔で画面を見せつけると大きなため息をつかれた。よし、勝った。





「そういえばお前ら、昼休みいちゃついてただろ」


放課後の練習前、たまたま教室の前を通りかかったらしい森山にそう言われたが、わたしは断じて腹パンをイチャイチャとは認めたくない。




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