3時間目の生物の授業のために生物室へと向かう。今日は実験なので、早めに行かなくては、と思い2時間目の古文の授業が終わったあとすぐに友達と教室を出た。生物室に着くと、まだ前の授業の生徒が何人か残っていて、上靴の色を見ると2年生のようだった。


「あっ!綾瀬先輩!」
「早川だー!2時間目生物なんだ。これからちょくちょく会うかもね」
「そうっスね!オ(レ)う(れ)しいっス!」
「うん、わたしも嬉しいよ」


素直で真面目で明るくて、わたしを慕ってくれる早川は可愛い。大型犬みたいでなんていうかこう、頭をわしゃわしゃ撫でたくなる感じ。それを前友達にいうと、あーなんかわかるわ。と納得してくれた。ただ、よく聞き取れるね、とは言われたけれど。


「今日は豚の目の解剖したっス!」
「おお、わたしも去年やったよー。グロいよね、あれ。ちゃんとうちで復習してね」


じゃないとテストの時に困るのはわたしたちだ。と心の中で付け足す。テスト前、早川の勉強をみんなで見てあげるのが去年1年で定番となった。1学期期末のテストで赤点、インターハイに出れないなんてことになったらたまったものじゃない。それはそれは、必死に教え込むのである。


「じゃあオ(レ)、次体育なんで行きますね!先輩頑張ってください!」
「早川もね、がんばって」
「はい!」


そう言って早川は先に教室を出て行った友達の後を走って追って行った。うん、可愛いなあ。今年の1年ルーキーにもこの素直さ見習ってほしいものだ。そんなことを考えながら席につこうとすると、あんたにやけてるよ、と友達に突っ込まれた。大好きだからしょうがない。




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テーマ「人外ファンタジー」
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