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今日は待ちに待った調理実習だ。調理実習、それはまさにより一層はるとの愛を高めるチャンス!
「今日ちづちゃんお休みだってー。だから私と勇人と巣山くんの3人だね」
まじでか。
「ちづちゃん残念だねー」
「巣山‥‥休んでもいいよ?」
「休むか馬鹿」
ちぇっ、はると2人きりの調理実習になると思ったのに。残念。
「じゃあ作ろっかー。ちなみに私料理苦手」
張り切って作らせていただきます!
今日の内容はハンバーグとミネストローネということで、俺とはるはミネストローネ、巣山はハンバーグを作っている。巣山の挽き肉をこねる手つきは馴れているようで家でもやっているんだろうと容易に想像がついた。それにしても、男の俺から見てもかっこいい。
「巣山くん馴れてるねー」
「たまに家で手伝わされるからな」
「はる見て見て俺キャベツの千切りやるから!」
まずいはるが巣山にホの字になりかけている!ここは俺の得意な必殺キャベツの千切りィィィイ!
「おーすげえ」
「勇人かっこいー!」
「まあな!」
「こんなにいらねぇけど」
「………」
「「「美味そう!いただきまーす!」」」
数十分後、無事に料理が完成した。最近9組連中を見習って昼も始めた美味そうを掛け声に出来立てのハンバーグを食べる。
「美味い!」
「巣山くん味付け最高だよ!」
「ミネストローネも美味いよ」
あまりの美味しさに話しをすることなく食べることに集中する。それにしても美味いな……はるの手料理!
もしはると結婚したら……
「勇人、美味しい?」
「はる、すごく美味しいよ!」
「ほんとに?よかったー。あ、勇人ほっぺにご飯粒ついてるよ」
「どこ?」
「ここ……よいしょっと。もう、勇人ったら子供みたいで可愛い!」
「はるのほうが可愛いよ」
「やだ勇人ったら!」
「栄口にやけてる」
「勇人キモーい」
「はっ」
いけないいけない、すぐににやけてしまうのは俺の悪い癖だ。まあはるが可愛すぎるのがいけないんだと思うけど!
「2人とも家でちゃんとやってるんだねー、尊敬しちゃう」
「俺ん家働かざる者食うべからずだからさ、平日は無理でも休みの日にやらされんの」
「俺ん家は当番制だからなー。弟はまだできないけど姉ちゃんと回してんるよ」
うちには母さんがいないし、それはしょうがないことだ。父さんは一家を背負って働いてくれるし、子供にできることと言ったらそれくらい。
そこまで言って再びハンバーグを食べようと思ったら、空気がズーンと沈んだ。あ、気を使わせちゃったかな。
「栄口、」
「勇人‥‥私今日から料理も掃除も洗濯もやるよ!」
「別にそんな気持ちで言ったわけじゃないからさ!気使わせちゃってごめん」
「いや、俺らが無神経だったよ。毎日ちゃんとやってる栄口のこと尊敬する」
「うん、私もちゃんとやらなきゃダメだね」
それでも再び笑顔を見せてくれるはると巣山を見て、ああ気を使わせちゃったなと後悔した。でも、同時になんていい奴らなんだと思う。
「よし、今度はるに弁当作ってもらおうかな」
「えっいきなりハードル高い!」
「それいいな。遠野、ちゃんと練習しろよ」
えー!と慌てるはるを見て巣山と2人で笑う。たまにはこんな風に3人でまったり話すのもいいなぁ、と思った調理実習だった。
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