わかっていたのに、それでも手を出した、私はただの大馬鹿。仲良しの延長線上に何も無いと知った時、それが我慢の限界だった。彼の女が何度も何度も変わるのをそばで見てきて、苦しくて淋しくて憎くて、それでも彼は私の居る場所に心地良さを感じてくれるから、だから私はそれで満足だった。誰よりも、女の中では1番。そう思っていたしそうだったのだ。いつかは、いつかはこの想いが伝わればいいと辛抱強く耐えていた。けれどこの関係の先には何も無いと、気づいたのはいつのことだろう。あぁ、確か彼が「俺達はずっと変わらねーよな」と言った時。何故だかは知らない。知りたくもない。でもその一言で彼は、変わることを望まないと知った。悔しかった。憎かった。すると自然に涙が溢れて私は告白をしていたのだ。「私は、ずっと好きだったのに」と。彼は優しいから「そっか」とだけ言って手を握ってきた。そして抱きしめられた。好き。好き。好き。卑怯だって分かってる。他の女とは違う。何よりも私だから彼は私の相手をしてくれたのだ。分かっていたから、私は好きだと言った。卑怯な女。


「三郎」
『どうした?』
「会いたいよ」


電話をすれば直ぐに来てくれる。三郎は優しかった。誰よりも優しかった、優しくしてくれた。大切にしてくれた。愛してくれた。もうそれだけで十分だった。関係を変えたのは私なら壊せるのも私。そろそろ、解放してあげないと。大好きな三郎が可哀相。三郎が私を愛してくれている以上に私は三郎を愛しているから。さようなら。次はもっと幸せな恋をしてほしい。





100518
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