人の気持ちに敏感過ぎるのは時として嫌なものだ。例えば水谷がしのーかのことを好きだとかそんなことならまだいいけれど気づかなくてもいいようなことまで気づいた時、どうしようもなく後悔をする。それは好きな人の好きな人がわかった時とか、だ。知らない間は幸せだった。ただ見ているだけで嬉しくて、挨拶するだけで幸せで。でもそれを知った瞬間に世界は変わる。嫉妬、妬み、苦々しく汚らしい感情が心の中を渦巻き、心が荒むのだ。笑い合って話しをすることなどもう不可能。消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろと頭の中で駆け巡るがそれは俺の最後の理性で自己処理する。そして彼女を手に入れたくて何度もキスをして何度ヤった。それを想像していると本当にヤった気になって俺は今、彼女を体育館の倉庫に連れ込み押し倒している。



「田島、何して」

「イイじゃん。いつもヤってるんだし」

「あんた何言ってんの‥‥?

「お前が何言ってんだよ。昨日だって」

「‥‥‥っぁ!」

「ほら、こうやってちゅーもしただろ?」



そして俺は微笑む。その口はにたりと笑っていることに気づかない。



「やっ‥‥めてよ!」

「うっせーな、お前いつもと違う」

「だから田島っ‥‥‥助けて、」







その瞬間俺の右手は彼女の左頬を強く打ち付けていた。




「たじま」

「黙れ」

「っ‥‥」

「二度とその名前言うな」



憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い。憎い。あの男が。彼女にこんなにも思われているあの男が。



「田島お願いだからやめて!」

「叫んでも無駄。ここには誰も来ねえよ」

「お願い‥‥田島」

「泣いたって‥‥むだ、だからな」



もう止められない。一度進みはじめたこの負の感情はもう止まることができないのだから。後悔など、ない。泣き顔などに何の未練もない。ただ俺はこうしていつものように彼女を愛してあげるんだ。そう、いつものように、愛してる。違う筈などない。





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