付き合いが長かった割に終わりはあっけなかった。でもそれ相応の付き合いだったからしょうがない。こうなったのは、全て同棲したのから始まった。お揃いのマグカップにお茶碗、スリッパ。最後にそれを並べたのはいつか。思い出せない。そんな日はとうに昔のように思えた。蔵ノ介はバレてないと思っていたが、バレバレ。他の人じゃ絶対気づかないようなかすかな目の泳ぎにだって私は気づく。だって6年も一緒にいるんだから。女の勘が冴えすぎるのもアレだ。いらないことまで傷付いて、泣いて。それでも私は待っていた。連絡の入らない中夕飯を作って待っていたり、朝まで眠れずに過ごしたり。蔵ノ介は最後まで気づかなかった。もう限界だったんだ。蔵ノ介を待つのは。私と蔵ノ介の関係は、できた時からこの終わりに向かって刻々と進んでいたわけだ。情けない、悔しい。自分はこんなにも男を見る目がなかったのかと思うととてつもなく泣ける。私が蔵ノ介といた6年間は無駄だったのか。少なくとも、もっといろんな人と出会えたろうに、私は蔵ノ介に潰された。幸せになれると思ったのに。蔵ノ介は知らない。私が、蔵ノ介が思っていた以上に蔵ノ介を愛していたことを。

結局私は認めたくないだけだ。こんな風に自棄になるくらい蔵ノ介を愛していたのに、自分の小さなプライドを守るために自分を傷つけて相手を攻める。そんな自分が情けない。男を見る目がなかったんじゃない。そうじゃなくてお互いが悪かったんだ。良い意味でも悪い意味でも干渉しなかった。こうなることは当たり前で、その前に何かするべきだった。しなかったあたり、多分蔵ノ介は私の運命の相手じゃなかった。

それでも私は蔵ノ介を愛してる。愛想を尽かしたのは私のほう。でも、蔵ノ介との思い出を忘れたわけじゃない。蔵ノ介がどれだけ優しかったかを私は知ってる。覚えてる。ただその記憶が数年前のものだというだけで。




091106
♪サウダージ/ポルノグラフィティ

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テーマ「人外ファンタジー」
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