どうやら生きてるの続きというよりちょっと先の話。前回引き続きオタってる。



「あ、アーサー」

「は?」



おっといけないいけない。思わず口に出しちゃったよ。それにしてもあれだね、国旗に萌える日が来るなんて……



「世界は今日も平和ですな」

「あ、あぁ…」



私と高瀬くんが付き合い始めて早いものでもう1ヶ月。そういえば告白されたのはもう半年も前だっけ。いやぁあっという間というか4ヶ月も私は焦らしてたんだね、申し訳ない。

下心満々でお友達関係をスタートさせた私達は、先月めでたくゴールインをした。そんなことをさっき高瀬くんに言ったら、ここからだろ、と笑われた。だから何でそんなカッコイいことをさらっと言うの。恥ずかしいやら眩しいやら…慣れたけど。

はじめはそりゃあ私から言ったといっても戸惑ったし、三次元の男の子なんて慣れないしスイーツ(笑)から軽く虐められたりしたけれど、そんなことも気にならないくらい高瀬くんに惚れてしまったのだ。高瀬くんの表面(河準河的な意味で)だけ見てればそれで構わないと思っていたのに、いつの間にかそれ以上を望なんて、私も変わったもんだと笑った。野球が大好きで大好きで堪らない高瀬くん。少し笑いのツボがおかしい高瀬くん。もっと知りたいって思った。私にだけ笑いかけて欲しいって。性的な意味ではなく、ね!



「高瀬くん、私高瀬くんのことが好きだよ」



一世一代の告白はすっごい緊張した。告白されてから半年。もしかしたらもう高瀬くんは私のこと飽きちゃったんじゃないかとも思った。けれど、高瀬くんは私を力強く抱きしめてくれて。



「俺も、すっげー好き」



あの時の感覚は一生忘れられない。高瀬くんの硬い胸板に押し付けられ、いい匂いがした。それはもう






たまらんスマッシュ!




「いい匂いだったなあれ……」

「何が?」

「ううううん何でもない」



あははは……変態だと思われるのは嫌だ。



「んで、弟はどれに出んの?」

「あぁ、ええとね…」



そして私達が今どこに来ているのかというと、私の小学生の弟の運動会に来ているのである。実はこれ、何気初デートだったり。部活が忙しい高瀬くん、まさかあの強い野球部でエースなんだって〜私どんだけ無知なの〜てかエースって何。ポジションどこ?

とは聞けない。



「今だと……お!弟の学年のダンスだ」


丁度プログラムを見ると、次の種目は弟の学年のダンスだった。たった今入場が始まっている。フハハハハ!私的今日一番のメインイベントだ。



「弟どこに」

「ふふふ……私これが一番楽しみだったのよ……!」

「え、」



そう、何てったって




♪チャーン チャーン チャーチャーン チャーー チャーーン



忍○まキタコレェェェェェ!!



「なぁ弟ど」

「きりちゃんカワユス〜!」



やっぱりいつ見てもきりちゃんは可愛いよね、もう土井先生との絆たまんねーよ!ニコ動のMADでガチ泣きしたしな。つうかもう私お母さん立候補します。あぁそしてこの辺タカ丸さんだよね!


なぁんてにやけてるうちに。



「来る来る来る」



そう、私が一番大好きな、



♪ヘイヘイ!




「キタァ上級生のターン!」



ヒャッホイ!ここの上級生のターンもう毎日禿げてんだよねもうたまんねーよ16期神OPktkr!滝三木にもんじにそうそうここで留が双忍そしてあやや仙様つうかこへはえーしハチいねーしそして最後の伊作と兵助ェェェェェェェェェェ!!



「ハァハァ……」

「だ、大丈夫…?」



ただいま高瀬くんの声は聞こえておりません。うん、だってしょうがないよね。上級生のターンなんて想像しただけで孕むっちゅー話や。そんでもって利吉さんも素敵。



「あ、そうそう弟はあれ」



そういえば高瀬くんに弟どれって聞かれていたのを思い出して、遠くを指さす。事前に場所を聞いていたからバッチリだ。うん、あの糞汚い体操着着てるあいつだ。



「へぇ、似てるな」

「そうかな?」



その後はたわいもない話をしてお昼の時間に家族に高瀬くんを紹介してみた。お父さんとお母さんは、私の趣味知ってるからかなり驚いて口をぽかんと開けていた。だらしないからやめてくれ。そして高瀬くんは前みたいに少し顔を赤くして挨拶するもんだからこれがちょー可愛くってもう!私が隣でニヤニヤしてたら弟に思いっきり引かれた。畜生め。別に取って食ってるわけじゃありません!



「それじゃあ高瀬くん、帰ろっか」

「全部見なくていいの?」

「うん、大丈夫」



勇気1○○%見れたからね!







「弟思いなんだな」



帰り道。
もう日が落ちかけていたので高瀬くんが家まで送ってくれている。何だかんだでデート?って感じの1日だったから、こういう恋シュミでよく見るシーンを実際体験すると、なんだかこっぱずかしい。

とりあえずそれよりもたった今高瀬くんが言ったことが気になるけど。



「なんで?」

「だってさ、ダンスんときすっげー楽しそうに見てたから」



だからいい姉ちゃんなんだなって思った。

高瀬くんは羨ましい、と言いたげな声色でぼそりと言った。いやいやいや、むしろいい姉ちゃんじゃないけどね。弟から時たまお金借りる姉を許して。だってst☆skのCDが欲しくてつい……



「それに、すっげー可愛かった」

「誰が?」

「お前が」



死亡フラグ。

プピーと顔から湯気が出ている音が鳴っているような気がする。高瀬くんは可愛いなーなんて言ってあああ頭を撫でてくるし……!



「たたた高瀬くん……!」



恋愛経験はゲームの中のみのオタクだからほんと勘弁してください。私の体温は最早止まることを知らない。



「また今度、どっか出掛けような」

「う、うん」



もう緊張して声が出ない。高瀬くんをまともに見れない。あぁリア充なんかしなければよかったかも。これじゃあいくつ心臓があっても足りやしない!





100223

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