「…最低」



パシン、と乾いた音が響いた。教室には俺と、目の前にいるこいつの2人。乱れた髪、しわくちゃになったセーラー服。そして、情事後特有の臭い。



「大っ嫌い」



そして、今度はバンッと教室の扉を強く閉める音が響いた。あいつが出て行ったからだ。

抑えきれなかったんだ。溢れる想いを。忘れようと思って何度も何度も女をとっかえひっかえした。俺と付き合いたい女なんか山ほどいる。少し口説いてやれば簡単だ。あっちからホイホイついてくるし、簡単に心も体も許す。そして飽きたら捨てる、ただそれだけのこと。
なのに何なんだ。さっきまでの女は俺を振りやがった。ムカつく。何様のつもりだ。俺が彼女にしてやるって言ってんのに説教垂れやがって。



「…沖田くんは、あの子のことが好きなんでしょう?なんでこんなことするの?」



うるせェ。黙れ。そんなことこっちが聞きてェよ。俺だって、こんなことしたって何の意味もないことぐらい分かっているのに。



「アンタに関係ねェだろィ」



そう言ってその場を離れ、薄暗い教室に戻ってみたら、あいつがいた。



「あれ、総悟まだいたの?」

「俺は暇じゃないんでィ」

「ははーん、さてはまた女の子か。全くさ、少しは女の子の気持ちも考えなよね」



そしてこいつはくどくどと説教を始めた。テメーは俺の母ちゃんか。いやそれよりも、俺の中にはふつふつと怒りが沸いた。こうなってんのは誰のせいだと思ってんだ。全部テメーの、



「……ごちゃごちゃ五月蝿ェって言ってんでィ。その口黙らせやしょうかィ?」

「だからね、そういうところが」

「黙れよ」

「そう…っ」



そして、犯した。こいつの初めてが俺だとか、そんなことこの際何も思い浮かばなくて、ただ目の前にいるこいつの体を必死に欲した。


情事中、あいつは泣きながら俺の名前を呼んでいた。なぜだかは知らない。ただ、あの声が俺の名前を呼ぶことは二度とないだろう。





100106
企画笑い方を忘れたピエロ様に提出。

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