発熱、 するのは、 私だけ。 君、 と、いう、生命の欠片、を、 目で、耳で、感じれば、 身体、は、 心、は、 飛び火して、 燃え盛り、 焦がれていく、 のに、 「私に、構うな。目障りだ。」 いつも、君の、冷水で、熱く惚けた、私を、奥歯に強く鋭く滲みる、ように、目覚めさせ、燃え上がっていた炎は、弱々しく、揺らめき、最早、風前の灯火と化す。 けれど、 「…お前、全くもって、馬鹿だな。」 「…ごめんなさい、」 諦めないで、追いかける事しか出来ない、動かしていた足が、抜ける地に吸い込まれ、落ち、着いた、空間を取り囲む、土に汚れた顔を上げ、一直線にしか働かない眼で、見つめて、追ってしまう、のは、やはり、煩わしそうな顔をした、君。 そんな君が、幾ら、連日消火作業を、したとしても、 「…お前みたいな、鈍臭い人間が、私のような天才に、付いてこれる、訳が無いだろ。だから、お前では、私なんて、手に負えるはずが無いんだ。」 「…そう、かも…しれない、けれど、でも、 自分の気持ち、から、も、 私を、嫌いな、鉢屋くん、からも、 もう、逃げ出す事が出来無い、程、 私、鉢屋くんを、好き、で、追いかけてしまうの。 たとえ、付いて行けなくて、置いて行かれても、 諦めが悪くて、もっともっと、嫌われて、しまった、としても、 鉢屋くんを、好きな気持ち、どうしても、消えない、から。」 鉢屋三郎、と云う、君が、存在する限り、私の、水溶性の灯火は、消え失せる事無く、君の放つ、水の冷気、すら、自身の柔らかな熱と、溶け合わせ、しぶとく、燃え上がる、糧、へと、変性させてしまう、から、私はただただ、君へと、向かっていく、馬鹿な、私、となる。 「…やはり、お前は、紛れもない、馬鹿だ。」 「…うん、そう、だね。……え…鉢屋、くん?」 「…ほら、いつまで、その中に居るつもりなんだ。 掴め、私を。」 君を、掴まずには、いられない、君に、まみれた、私に、 いびつに、やさしく、 手を、差し伸べて、 くれる、から、 「…泣くな。」 私は、堪えていた水が、零れた。 初めて、 君に、 触れた。 「私を、手放したら、許さないからな。」 私と対面する、君の、温度を悟らせない、その表情、とは、 裏腹の、 私と、 繋がっている、 君の、本当の、温度は、 私の水と、君の水を、やんわりと、温める事すら容易い程、 「私と、繋がっていたいのならば、死に物狂いで、付いて来い。 この、手が、二度と、離れぬ、ように、 私だけを、追い続けろ、 名前。」 灼ける程に、 発熱、発火。 2人、 燃え尽きて、塵と化しても、 生じた気体には、 幸せ、が、漂っているのだろう。 → |