桜桃




リョーガが四天宝寺に来てから
一月たった。まぁ、煩いのって
何のって。




「八王子ーッ!」

『ぅおッ!』




後ろから飛び付く奴。
金ちゃん以外でこんな事をする
奴ァここではただ1人。


『リョーガ…。所構わず
抱き着くのは止めなさい
って何度言えば解るのかな?』

「八王子、いい匂いがする…」

『人の話を聞けッ!!』



もうこのやり取りは日常茶飯事。
ニコニコと生暖かい目でこっちを
見る奴等数人。




『…止めろよ、お前ら』

「「え〜、かわえぇやん」」

『何処がだァッ!!』




テメー等眼科行ってこい!!
心臓は煩いし。脈拍も速い…。




『…不整脈』

「「へ?」」

「兎に角、深紅ちゃん
サクランボ食べる?」

『食う』

「俺も食べたい」

『だったら離れろ』

「え〜」




え〜じゃねぇんだよ。
バカヤロウ。心臓がうるせぇ。




『ホラよ』

「あーん」




口を開けるアホにサクランボを
放り込んだ。




「うまっ!」




ホント、リョーマとは正反対
だな。




「ふふッ、微笑ましいわぁ」

『ん?』

「何が?」

「兄弟みたいやなぁって」

『リョーマそっくりだよ。
あっちもくっつく時あったが
抱えられた。コイツはデカ
過ぎる。ま、騒ぐか騒がないか
だけだな』




ホント、そっくりだよ。



(いい加減離れろ)

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