蜜柑




夏休みも終ってしまった。



『…学校か。めんどくせ』

「おハヨーさん!!」

『ハヨス』




朝から元気だな、謙也。
オー、全力ダッシュ速い速い。




『コケるなよ〜』




言っても無駄だけどな。




ガッシャーン!!





『うわ…、いってぇ…』


普通は看板に突っ込んで
行かないよなぁ。




「甘いで!謙也!!」

『白石…、跳び過ぎじゃね?』




ガツッ!




ホレ見ろ。てか、絶対痛い。
門は痛いって。




「毎朝お疲れさんスわ」

『光、ハヨス』

「ハヨざいます。今日は
やらんのスか?」

『やるぜ?』




俺は光に鞄を預けた。




『深紅行きます』




さーてと、今日はどうするか。
助走を付けて一気に走る。



『よっ!』




クルクルと回る。新体操でも
やっていたかのように。




「キレえぇなぁ」

「バク転出来る奴なんて
そうそうおらんで」




だろうな。




『ラ・ス・トッ!』




そして、毎回門にぶら下がる。
白石みたいに顔面はぶつけない。




『ん〜…、イマイチ』




体を前後に振って手を離した。
宙返りしながら地面へ。




『っと』




音も無く着地。




『10点満点』

「八王子」

『ん?』




俺か?




「みかん、いるか?」

『貰う』




ポイッとみかんを投げる
オサムちゃん。




『サンキュ』




みかんを受け取り後ろを
振り返った。




『はよ、行かんと遅刻やぞ〜』

「「ヤバッ!」」

『光も走れ〜』

「うぃッス」




バタバタと昇降口に走る生徒。
それを眺めてから空を仰いだ。
青空には太陽がキラキラと
輝いていた。




『今日も空が青いわ』




(へー、四天宝寺ね)

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