林檎




ちょうど、今日。アイツと
出会った。出会いってのは
不思議なもので。偶然が
重なったんだと最初は
思った。今でも思う。
そう、ここで。この
リンゴの木の下で。




中学最後の夏休み最終日。
夏も終りだと言うのに
スゴく暑い。だから、
木陰の涼しさは嬉しい。
その時。




「ヤベッ!」




声を聞いてから、額に
衝撃が走った。




『ってぇ…』




起きて横を見ると
オレンジが転がっていた。
リンゴの木だよな。何故、
オレンジが…?




「悪ィ!大丈夫か!?」

『あ、あぁ…』




驚いた。リョーマ?否、
違うな。こんなにデカく
ない。(失礼だね byリョーマ)
リョーマにそっくりの奴が
目の前にいる。




「手ぇ滑らしちまって…」




上にいたのか。

気付きもしなかった。




「いい所だな、ここ」

『…まぁな』




不思議だった。初対面の
人間にこんなに話したのは。




「ヤベッ!そろそろ帰んねぇと!
またな!」

『あぁ、またな』




そういうと、リョーマに
そっくりな奴は走っていった。




『また…ね』




会えるハズない。よっぽどの
奇跡でない限り。何処に
住んでるのかも。名前も
知らない奴にまた会えるとは
思ってない。こんな所で
会えたのは偶然。そう、
偶然。




(あ、名前だけでも聞いとくんだったな)

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