オレンジ




リョーガがアメリカに行って
3年が経った。俺は今日、高校を
卒業した。だが、リョーガは
未だに帰ってこない。それでも、
約束したからリンゴの木の下で
俺はアイツを待つ。




『今年も無理か』

「何が無理なんだ?お嬢さん」




え、この声…。まさか…。




『リョーガ…』

「よっ!ただいま」

『おかえり』




俺は、リョーガの所に駆け寄る。
少し、躓いてしまったが
リョーガによって転ぶことは
なかった。




「女らしくなったじゃねぇか」

『余計なお世話だ』




しばらく見ていない内に
リョーガは前より背が伸び、
カッコ良くなっていた。




「深紅、コレやるよ」

『ぅわ!』




投げられたのはオレンジ。
あの時と同じ。




「オレンジがお前と会わせて
くれたようなもんだからな」




そうだ、あの時リョーガが
落としたオレンジが俺の額に
落ちてきたのが俺達の出会いだ。
今思うと、散々な出会いだな。




「深紅」

『ぅお!』

「もうちょい、可愛いげのある
驚き方出来ねぇの?」

『急に引っ張るからだろ!』




可愛いげのある驚き方なんて
したくもないが。それは、口に
出さないことにしよう。




「深紅、俺さ。帰ってきたら
真っ先に深紅に言ってやろう
って思ったんだよ」

『何をだよ』

「大好きだって」




こういう事をサラリと言える
コイツはスゴいと思う。




「だからさ」

『うん』

「俺と結婚して下さい」

『え?』

「ダメ、か?」

『いや、ダメじゃない。俺も
リョーガと一緒にいたい』



そう言うと、リョーガは笑って
やった!って言うから、俺も
つられて笑うんだ。



(子供は2人な)
(気がはえぇよ、リョーガ)


[ 10/10 ]


第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -