無花果




恋、か。白石に言われて気付く
とか、ヤバくない?




『…恋、なぁ』

「え、もしかして初恋?」

『そうなるやろな』




謙也にお前女ちゃう!なんて
言われてもな。性別上女や
っちゅうねん。




「八王子、そいつ誰?」

『急になんだよ』

「…別に」




あからさまに不機嫌なのが手に
取るように解る。リョーガは
俺からふいっと顔を逸らした。




『俺が恋ねぇ』

「今まで恋を知らんっちゅー
のが深紅らしいわ」

「せやな」

「リョーガえぇ加減に機嫌
直せや」

「…うっせ」




こいつは何でこんなに機嫌
悪いんだよ。




『リョーガ、ホレ』

「ん?」

『無花果』

「だから何だよ」

『やるよ』

「…え?」




何をそこまで驚くんだよ、
リョーガ。




『いらんならいいけど…』



今度は俺が驚く番だった。
リョーガが俺の指ごと無花果を
食いやがった。




「あ、うまい」

『リョーガ!』

「悪かったって!」




まただ、不整脈が。
まさか…。




『嘘だろ』




俺が好きなのって、リョーガ?




(…嘘だろぉ)

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