「ブンちゃん、次サボるぜよ」

「程々にしろよ?仁王」

「…努力するナリ」

「努力かいッ!」


俺は、ククッと笑いながら教室を
出た。行く所は決まっちょる。




屋上。




「えぇ空じゃの」


雲一つない青空。


「ん?」


珍しい。
人がおる。


「もしもーし」


寝とる?


『…ん、何かようか?』


あ、起きとった。


「否、別に何も。ただのサボり
じゃ」

『あっそ』


そう言って先客は立ち上がる。


『人が来たから俺はおいとま
するか』

「…」


不思議な奴じゃ。


『じゃーな、仁王政治。
否、ペテン師』

「!?」


何じゃ!


「何で俺の名前…」

『さて、どうしてでしょう』

「お前さんの名前は!?」

『さぁな。テニス部の参謀なら
知ってるんじゃねぇの?』


そう言って屋上を出ていった。
俺はその日。



そいつに興味を持った。
たった1人の生徒に。


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