赤の他人に間違われ

アタシには、双子の兄がいる。
性格は一緒でも、顔付きや
考えは全く違う。…まず、
双子と思われることはない。
あっても困るが。




「蒼」

『…何よ、景吾』

「また、間違われたのか」

『…煩いわ』

「やり返せよ、いつものように」




やり返せたら苦労はしない。
相手は女子だ。それに、令嬢
だったりする。親に迷惑を
かけたくない。…ってのは建前。
このナルシストを兄と認めたく
ないだけ。



「部活行くぞ」

『…』




部活に行く途中、水を頭から
ぶっかけられた。イライラする。




「蒼!」

「どうした、その格好…」

『いろいろよ。さっさと部活の
準備しなさいよ、岳人。亮もよ』




詳しくは言わない。自分に
腹が立つから。




「蒼も弱い所見せない
もんね〜」

『見せる訳ないじゃない、
アタシのプライドが許さないわ』

「「ここはそっくりなんだけどな」」




そんな姿見せるなら死んだ方が
マシだ。




「蒼さん、呼ばれてますよ」

『…日吉』




どうせ、景吾親衛隊のウチの
何人かだろう。めんどくさい。




『…いってくる』




イライラする。今日で何度目だ。




「何で呼ばれたか解るわよね?」

『…景吾の事、でしょう?』




ニヤ、なんて。酷い笑い方。
自分の利益しか手に入れない
ような悪徳政治家みたいな
笑い方とそっくりだ。



「別れて」

『…ムリよ』

「どうして!?」




どうしてって言われてもムリな
ものはムリだ。




『第一、付き合ってすらないわ』

「嘘よ!?」




ヒステリックに叫ばないでくれ。
そう思ったと同時に左頬に痛みが
走った。




『…ッ』

「ふざけないで!!」




あー、ホント腹立つ。




『ふざけてなんかない』

「何よ、見せ付けのつもり!?」

黙れ

「!?」

『見せ付け?こじつけ甚だしい
わ。それと、可愛こぶってんじゃ
ないわよ。景吾と何?付き
合ってる?ふざけんじゃないわ。
アタシとアイツは双子よ。
似てなくて悪かったわね。
解った?別れる前に付き合っても
ないし、ムリなのよ』




アタシの中で何かが爆発した。
口が閉じない。次から次へと
出てくる。




『景吾を狙って、他人を
傷つける。そして、仲間ばっか
作るくせに抜け駆けした子が
いたら次はその子を叩くの?
それとも、アナタ達は心が広い
子達なのかしら。ハッ、反吐が
出るわ。アナタ達みたいな子が
景吾に近づこうとしてるなら、
アタシが片っ端がぶっ潰して
あげるわ』




彼女達の顔から血の気が引いて
いった。いい表情だわ。




『よくって?』




あら、泣いて逃げちゃった。




「はっはっはっは!」

『…見てたの』

「蒼、怖いわ〜」

「まぁ、ザマーミロ」

『あの怯えた顔ゾクゾクするわ。
ふふッ』

「流石、あの異名持ち」




アタシの異名?
氷の女王」よ。









赤の人に間違われ

(ふふッ、凍りなさい)

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -