友達から 

仁王の突然な発言に対して
僕は間抜けな返事しか
返してない。仁王は
こっちをじっと見ている。
僕はブン太に助けを求め
ようとブン太を探すと
向こうで男子と話して
いた。使えないな、あの
ブタ。それよりもだ。




『…っと、仁王』

「何じゃ」

『何の冗談だ』




僕には、それしか言え
なかった。仁王のことは
苦手ではあるが、好きでも
嫌いでもない。だが、
初対面なのだ。今日初めて
話した相手に告白をする
のか?仁王を見るとどこか
悲しそうな目をしている。
表情は変わっていないが。




『あー…、スマン。君を
傷つけたのなら謝る。
だが、初対面で告白される
とは思っていなかった
んだ。あと、返事は悪いが
付き合えない』




そういうと、仁王はスゴく
驚いた顔をしていた。OK
されると思っていたの
だろう。確かに、その辺の
ミーハー面食い女共はOK
したかもしれない。だが、
僕は面食いでもミーハー
でもない。




『だが、友達でいいのなら
付き合うが。それでは、
ダメか』

「…友達になってくれるん?」

『あぁ、嫌なら断ってくれ
てもk「嫌じゃなか!」




…そんなに慌てなくても
いいだろうに。何故だろう
か、普通の男子生徒なんだ
な。まぁ、色々と有名
だが。それにしても、
あんなに苦手だと思って
いた相手を友達とする
なんてな。




『…そういや、仁王』

「何じゃ」

『何で、僕が女だと解ったんだ?』




僕は入学式の日以外、
スラックスで過している。
声色も地声より、少し
低めに出している。それ
なのに何故、僕が女だと
気づいたのだろう。




「スラックスを履いてたと
しても、男はそんな肩幅
狭くない」

『なるほど』




それは、正論だ。流石、
詐欺師と呼ばれている
だけはある。観察力は充分
あるんだな。




『…ところで仁王』

「ん?」

『その表情は止めてくれ』




仁王は驚いたように目を
見開いた。まるで、自覚が
なかったかの様に。だが、
目は口程に物を言うし、
正直だ。僕と話している
間、ずっと捨てられた子犬
みたいな目で僕を見て
いたんだ。




「何でもないナリ」

『そうか?あ、部活頑張れよ』

「プリ」




そのまま教室を出ようと
したが、仁王が少し気
がかりだった。振り向くと
仁王が窓の外を見ていた。
やっぱり、あの悲しそうな
顔で。その姿が中学の頃の
僕と重なって見えて
しまった。



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