急な発言 

ブン太に奢ってもらった
抹茶オレとブン太のパンを
持って、売店から帰って
くると一番に目を引くのは
あの銀髪。まだ、寝ている
らしい。手をだらんと
垂らして。




『…死んでる?』

「いやいや、殺すなよぃ」




死にそうだけど、とか
続けて言うブン太に心で
ツッコミをいれた。
…ツッコミ力はいとこと
その友人達のおかげで
ついている方だと思う。




「そういや、燐。その
コーヒー牛乳、どうすんだよぃ」

『何だ、急に』

「いや、あんま飲む所
見ねぇから」




まぁ、あまり好きでは
ないな。だが、何となく
死にそうになっていた
仁王を思い出したら手は
コーヒー牛乳のボタンを
押していた。とりあえず、
半分飲むとするか。




『仁王』

「…ん?」

『飲むか?コーヒー牛乳』

「飲む」




そう言って手を伸ばす
仁王は何か可愛いと不覚
にも思ってしまった。
まぁ、それは声に出さず
無言で手渡す。ちゅー、と
コーヒー牛乳を吸って飲む
仁王の姿はおかしかった。




「燐」

『ん?何だ?』

「…ありがとう」

『あ、あぁ』




仁王の顔は笑っている訳
じゃないのに、どこか
空気は柔らかかった。その
まま、ブン太の方に目を
やると信じられないという
ような目でこっちを見て
いた。




「…嘘だろ」

『何がだ、ブン太』

「仁王が飲みもん飲んでる」




…いやいや、仁王が何かを
飲んでいるのがそんなに
珍しいか。普通じゃない
のか?これが。




「ブンちゃん、煩い」

「お前が飲み食いしてるの
なんて、俺達でさえあんま
見ねぇじゃん!」

『そんなに珍しいのか』

「コイツの偏食、おかしいんだよ」




それは、マジか…。ありえない。ありえなさすぎる。



『仁王、流石にそれはダメだろ』

「…」

『何かしらは口に入れないと、体壊すぞ』

「…食欲、ないんじゃ」




そういう仁王は弱々しく
見えた。それに、今の
仁王の話だと物を食べない
ではなく、食べれないと
僕にはそう聞こえた。
仁王は少し黙り込んでから
口を開いた。




「燐」

『ん?』

「俺と付き合ってくれん?」

『…ハ?』




仁王の突然の発言に僕は
間抜けな返事を返すこと
しかできなかった。


[4/30] bookmark

index

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -