間違った水の
使用方法 

やらかした。……弁当
置いてきちまった。
うわ〜、今日だし巻き玉子
作ったのに。



「どうした?燐」

『……弁当忘れた』

「あ、じゃあ俺達と食堂
行かねぇ?皆いるぜ」



皆っていうことは、
テニス部の奴等皆だよな。
また、ややこしくなりそう
だが腹は減る。



『仕方ない、たまには
学食もいいか』

「燐ちゃん、行こ!」



仁王に引っ張られ、
バランスを崩しながら
立ち上がる。



『仁王、行くから。財布
取らせてくれ』

「はよ、行こ!」



パタパタと耳が見える。
君は犬か。あ、猫か。



「仁王、変わってきた
かもな」

『そうか』



そんな話をしながら、僕は
ブン太達と食堂に来た。
うわぁ、あそこだけ異様に
輝いてるように見えるのは
僕だけか。



「斉木ー、おいで」

『大声で呼ばないでくれ
ないか、幸村』



ただでさえ、今僕は銀と
赤の間にいるんだ。これ
以上悪目立ちしたくないん
だよ、正直。そして、何で
こういう時に弁当を忘れて
しまったんだ、僕。



「俺達が買ってくるから
斉木、ここにいて」

『わかった』

「じゃあ、俺一緒に出し
とくぜ」

『悪いな、えーと君は
ブン太のパートナー』

「あぁ、ジャッカル桑原だ」

『ジャッカルだな、頼む。
B定食、あとお金』

「了解」



それにしても、馴れって
怖いな。机に落書きされ
ようが、教科書に落書き
されようが何とも思わなく
なっていた。めんどくさく
て。だからって、放って
おくと嫌がらせも酷く
なる。だから、諦めた。



「ねぇ」

『……何かようか?』

「あなた、マネージャー
辞めてくれない?」



……ハ?突然来て、何を
唐突に言うんだか。辞めろ
と言われても幸村の指名
だから、ハイそーですかと
辞められる訳ない。



『ムリだ』

「どうやってテニス部に
取り入ったかは知らない
けど、目障りなのよ。
あなた」

『それは、悪かった。
……と、僕が言うと思うか?』



それは、僕が悪い訳じゃ
ない。だから、謝る訳ない
だろう。



「あなたねぇ……ッ!」



その声がしたと思ったら、
僕は頭から水を被った。
いや、かけられたのか。
まったく、水は人にかける
もんじゃないだろ。



『……つめて』

「ムカつくのよ!媚売って
テニス部に取り入って、
何様よ!前から好きだった
アタシ達の身にもなってよ!」

『……言いたいことはそれ
だけか』



俺は立ち上がり、水を
かけたであろう女子の前に
立った。



「な、何よ」

『あのさ、多数で来るのは
構わないけど、周りの
迷惑を考えたらどうだ?』

「ッ!」

『それと、僻みとか妬み
とかが女を下げてるって
解らない?それってさ、
周りからしたら結構解り
やすいんだぜ。もしか
したら、向こうも気づいて
いるかもな』



ヤバい、止まらないかも。



『それに、仲間ばっか
作ってどうすんだよ。探り
合いでもすんのか?で?
次は抜け駆けした子を
一斉に叩くんだ』



ニコニコと話す俺。内心は
結構イライラしてる。水が
滴る前髪をかき上げ、女子
達を見た。



『ハッ、反吐が出る』



俺は、1人の女子の顎を
クイッと持ち上げた。



『そういうの俺、嫌い
だからさ。止めれば?』



まぁ、こういうことする
から悪化すんだよな。


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