隣の席 

高3の春。僕は自分の運の
無さを憎んだ。何で、高校
最後にこのクラスなんだよ。




『…結局、ブン太とは3年
間一緒か。まぁ、仲良い
からいいけど。でも、
えぇー…』




何で、ちょっと問題児で
ある意味でも有名な生徒と
同じクラスになって
しまったんだろうか。
僕は、そいつの事が苦手
だ。色々とだらしがない
から。




『って、思っていても仕方
ないな』




覚悟を決めて教室へ
向かった。…案の定、
教室は女子の黄色い声で
煩かった。いい加減に
してほしい。黒板に貼り
出されている席順を見て、
また自分を憎んだ。
まさか、苦手な奴が隣。




『…マジか』




もう、諦めた。うん、
諦めよう。




「お、燐じゃん!」

『ブン太か、また同じだな』

「今年もシクヨロ!」




ブン太はいつも元気だな。
子供か、と思うくらい。




「仁王、売店行こうぜ」

「…やじゃ」

「んだよ、つれねぇ奴だな」

「眠いし、体痛いし、
眠いし…」

「……お前なぁ」




いやいや、ブン太。その
間の多さはなんだよ、
意味深な7時の多さは。




「しゃあねぇなぁ、燐
行こうぜ」

『え、僕?』

「パン半分持て」




いやいや、どんだけ買う気
なんだよ。1人で持てよ。




「抹茶オレ奢るからよ」

『のった』




ブン太に現金な奴だな、
とか言われたが抹茶オレに
罪はないんだよ。でも、
まぁ一応財布は持って
いこう。その時。




『……?』




手首に違和感があった。
見ると手首をアイツが
掴んでいた。




『…仁王?』

「…売店行くん?」

『まぁな』

「…コーヒー牛乳飲みたい」




…それは僕にどうしろと
いうんだ。奢れと?
初対面の人間に君は
たかるというのか。え、
図々しくないか。




「…でも、1本はムリじゃ」




え、何それ。どういうことだ?




『…半分なら飲めるのか?』




コクりと弱々しく、
眠そうにして頷いた。
…意外に可愛いとか反則
だろ。




「燐!早く行こーぜ!」

『あぁ、今行く』




ブン太にそう返すと、
仁王が掴んでいた手首は
楽になった。仁王が手を
離したおかげで。ただ、
その仁王の手がだらんと
なっているのを見て、
何となくコイツ死ぬんじゃ
ないかとか思った。
…それに、仁王のあの目。
どこか悲しくて寂しい
ような目。あんな目を、
仁王はしていた。…昔の
僕みたいな目をしていた
から、少し気になったんだ。


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