勘違い 

何で、あんな事言って
しまったんだろう。仁王が
やったと決まった訳では
ないのに。頭に血が昇って
いたとはいえ、バカだ。




「燐先輩」

『ん?あー、君は…』

「切原赤也ッス」

『切原、どうした?』

「ちょっとコケまして…」

『あー、これは見事に擦り
むいてるね』

「ハハッ」

『元気があるのはいい事
だが、気を付けろよ。
ここに座れ、切原』

「はい。あ、俺の事は
赤也でいいッスよ」




馴れてないんで。そう
言ってニカッと笑った
赤也は、光とはまた違う
雰囲気の後輩だと思った。
直感で。何て言ったら
いいんだろう。あ、正反対。




「…燐先輩」

『ん?』

「今朝の事なんスけど」




今朝の事、僕が仁王に
言ったことだろう。赤也は
言いにくそうにモゴモゴ
していた。そんなに言い
にくいことなんだろうか。



「…昨日、仁王先輩のゴム
さっきの人に取られたん
スよ」

『!』

「それに、仁王先輩。
俺達とずっと一緒に
いましたし」




…何?じゃあ、やっぱり
あそこをめちゃくちゃに
荒らしたのは結花だったの
か。それなら、僕は仁王に
酷いことを言ってしまった。




『…バカは俺だったか』

「え?」

『赤也、教えてくれて
ありがとな』

「え、あ、ハイ」




仁王のもとに謝りに
行かないと。その時。




ガシャーン




「『!』」




部室の方から音がした、
まさか…。俺は急いで走り
出した。




『白石!』

「燐」

『開かねぇのか?』

「銀と真田、あと幸村が
やってもへこむだけやねん」

『中には』

「仁王と結花達」




結花、お前は一体何を
考えてやがんだ。俺を
苦しめたいんなら、俺
だけにすればいいだろうが。




『…悪い、退いてろ』

「「!」」



鍵をかけたのは結花だ。
俺の勘だけど。こんな
こと、考えんのはアイツ
だけだ。




「燐、マジギレ寸前
やな…」

「え?」

『どらぁッ!』




バアァ…ンッ!



扉は音を立てて、内側に
倒れた。案外呆気ないな。



「蹴破りやがった…」

「流石〜」




中にいたのはやはり仁王と
結花…、ともう1人。
3人はいきなり蹴破られた
ドアの方を見て目を丸く
していた。




『大丈夫か、仁王』




見た所、仁王に怪我は
なさそうだ。結花の方を
見ると、少し狼狽えて
いる。さて、あの時の
決着を着けようか。


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