猫被りは嫌いだ 

「元気やった?」

『まぁな』




…やっぱり結花なのか?
あの時の黒幕は。ユウも
財前も結花を見る目は鋭く
怖い。あの白石でさえも
怖い。考えたくなかったん
だがな、僕の回りにいる
奴が動いたなんて。




「燐…」

「あれ?燐ちゃんの
彼氏?」

『違う』

「マブダチじゃ」

「そうなんや、ウチは水瀬結花!よろしゅうね!」




…これは結花に気に入ら
れたか?仁王、厄介なのに
好かれたな。コイツは
めんどくさいぞ。




「燐ちゃん、あん時の
事がなければ皆と一緒
やったのにね」

『…せやな』




白々しい。お前がそれを
望んだくせに。お前が僕の
立場に立ちたいが為に
起こしたくせに、何言って
るんだ。




「あ、そろそろ戻らな。
またね、燐ちゃん」

『あぁ…』




来た方向へと走る結花の
後ろ姿に僕は苛立ちを
覚えた。何がまただ、人の
事を嵌めたくせに。




「燐」

『…ユウ』

「アイツの事は放っとけ」

「せやで、燐」

『おん。謙也にまで言われるんか』

「どういう意味やねん!」



よぉ言った!とか、小春
とかを見て僕はつい笑ってしまった。




「ねぇ、斉木。お願いが
あるんだけど」




幸村が僕に何か頼むなんて珍しいな。何か、あった
のか。




『何だ?』

「斉木、立海の代理
マネージャーをやってくれ
ないか?さっき、白石から
聞いたんだけど水瀬さん
だっけ。何か、あの子が
マネージャーするかも
だって白石が言うからさ。
あの子にだけは、何か頼み
たくない」

『…長々と私情と説明
ありがとう。そうか、
結花がマネージャーやる
のか。いいよ、やって
やる。僕もアイツには
任せたくない』




私情を含めた説明で理解
した、幸村は何かを感じ
取った。結花がどんな
正確なのかを。




「あの結花という女子、
裏の顔があるな」

『柳もか。あぁ、多分な…』

「俺等もアイツが何考え
とんのか解らん時があん
ねん。せやから、気ィ
つけた方がえぇで」




だろうな、猫被りの考え
ていることは僕にも全然
解らない。ただ、何かが
おかしいということしか。
アイツは、歪んでるとしか
思えない。つい、僕は拳を
握ってしまった。僕は、
すぐ傍にあったコンクリの
壁を素手で殴った。痛みで
怒りをまぎらわさないと、
今にも暴走しそうだった
から。


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