懐かしさ<予想外 

五月晴れの黄金連休に僕は
大阪に戻ってきた。3年
ぶりだからどこか懐かしい。長年住んでいたとは思えなかった。駅を出ると
そこにいたのは、見覚えの
ある緑色の髪の男性が柱に寄りかかって立っていた。




『ユウ』

「やっと来たんか」

『迎えに来てくれたん?』

「オカンがうっさいねん。
あと、周」




変わっていないな、ユウ
ママ。周も、変わって
いないのが嬉しい。




「そっちの荷物よこせや」

『ユウ、またガラ悪なったんとちゃう』

「元からやろ」




そう言って口を尖らす癖は昔と全然変わっていない。




『なぁ、ユウ』

「ん?」

『ラケット持っとるの
って、これから部活やから
か?』

「おん、皆に会わせたろ
思て」




確かに会うつもりだった
からいいが。そうだった
なら部活に行ってよかった
のに。そうユウに言えば、
アホと言われた。




「燐が帰ってくる言う
てんのに迎えに行かん
かったらオカンと白石と
小春と周にどやされるわ」




あー、何となく想像つく。ユウママ結構怖いから。




「ほれ、行くで」

『おん』




懐かしい道のりを歩いて
高校のテニスコートへと
向かう。途中で四天宝寺
中の門があったから、
一気に懐かしい思い出が
蘇る。




『オサムちゃん、元気やろか』

「変わらんで〜」

「『!』」




突然声がしたからギョッとした。




「よぉ、斉木」

『ホンマ、変わっとらん
な。オサムちゃん』

「早くアイツ等にもその顔見せたり」

『おん』




ホント、変わっていない。




「そういや、こっちに関東から合同練習に来とるで」

『ほぉ』

「まぁ、どこかは知らん
けど」

『青学か氷帝辺りやろ』

「せやな」

『少し、手伝うたろか』

「白石に聞いてみるわ、
えぇって言うやろうけど」

『おぅ』




珍しいこともあるもの
だな。向こうからこっちに
来るんだなんて。




「コート、ここや。もう
来とるんやな」

『…え』




あのユニフォームって…。




『立海…』

「白石ー、燐連れて
きたでー」

「おー」

「…斉木?」




まさか、関東から練習に
来ているのが立海だなんて誰が予想した。幸村も
驚いていた。いや、僕も
驚いたが。仁王は僕を見た
瞬間、仁王の顔がパアッと
明るくなった。




「燐ちゃん!」

『に、お…ぅ』




仁王が僕の名前を呼んで
から僕に飛び付くまでに、
そう時間はかからなかった。その拍子に僕は少し
よろめいてしまった。


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