いとこからの電話 

コートから少し離れてから電話に出た。




『もしもし』

「よぉ、元気しとったか」

『相変わらずやで、
そっちは…、って聞く
までもないな』




後ろからギャーギャー
騒いでいる声が聞こえた
から向こうも相変わらず
なんだろう。少し落ち
着いた。




『…ユウ』

「ん?」

『あれから3年経つんやな』

「…せやな」




それは、僕がまだ四天宝寺中にいた時に起こった
大事件。まぁ、簡単に
言えばいびりで複雑に
言えば犯罪紛いのこと。
それが僕に対して酷かった
のだ。僕は気にしていな
かったけど、向こうはその
態度がムカついたらしい。




「燐」

『ん?』

「俺、アイツん事認めへん
から」

『俺もや。認めへんし、
許さん』




今、思い出しても腹の
立つ。そう簡単に許す訳
ないし、忘れる訳がない。




『ユウ、周は元気か?』

「あぁ、変わっとらん」

『頼むな、周を』




まかしとき、なんて言う
ユウにはつい笑って
しまった。ユウの声が落ち
着いた声に変わった。この
声の持ち主は…。




『白石か』

「久しぶりやな、燐」

『せやな』

「元気そうで何よりや」

『白石もな』




ホントに皆変わってないん
だな。それが嬉しかった。
電話を切ってコートに戻る
と仁王に、いやレギュラー
に驚かれた。




「何か、いい事あったん?」

『何でだ?』

「嬉しそうじゃから」

『まぁ、中学の時の友人
達が変わってないと思うと
嬉しくてな』

「確か、四天宝寺だっけ?
柳」

「あぁ」

『そんな事も知っている
のか』




侮れない奴だ。だが、悪い
奴ではないと解っている
ので言わないが。




「斉木、テニスの経験は?」

『少し、いとこの影響で』

「1ゲーム、やらない?」

『…ラリーじゃないんだな』

「ダメ?」

『まぁ、いいよ。どっち
かが1ポイント取ったら
終了な』

「わかった」




テニスなんて、3年ぶり
だろうか。あの日以来
ラケット自体触って
いなかったからな。鈍って
いなければいいが。


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