噂の真偽 

仁王がぶっ倒れ、ブン太の
家に厄介になっている。
全く、仕方のない奴だ。
あんなゼリー飲料で腹が
膨れる訳がないんだ。
とりあえず、お粥を作って
ブン太達にはオムライスを
作ってやった。借りてる
立場だからな。




『ブン太、運べ』

「おぅ。このオムライス…」

『お前達のだ。空ー!
海ー!持っていけー』




空と海もブン太と一緒に
オムライスを運んでいた。
そして僕は、仁王のもとに
お粥を運ぶ。




『具合はどうだ』

「さっきよりは楽…」

『お粥、作ったから食べろ』

「ピヨッ」




嫌がるかと思ったが素直に
起きた。意外だったな。




『熱いから気を付けろ』

「……」




何だよ、その目は。捨て
られた子犬のような目で
見るんじゃない。何か
良心が痛むだろうが。




『…何だ』

「…食べさせてくれんの?」

『調子に乗るな』




お粥を作っただけでも
ありがたいと思えよな。
家からここまで来て、
作ってやったんだ。そこ
まで、世話を焼く訳にいくか。




『ったく、ぶっ倒れるまで
夜更かしするんじゃない』

「…したくてしてる訳じゃ
なか」




何でだ、と仁王に聞こうと
思ったが、仁王を見ると
どこか辛そうな顔をして
僕を見るから深くは追求
しなかった。言いたくない
事もあるだろうしな。




「…うまい」

『そうか』




そのまま、仁王は黙々と
食べていた。休む暇も
取らずに。仁王のその
食いっぷりは見ていて
清々しかった。




「…ごちそうさま」

『あぁ、お粗末様。もう
少し寝ていろ』

「ん…」




仁王は横になるとすぐに
目がとろんとしてきた。
…どんだけ寝ていなかったんだ。




「燐、片付けるもん
あるか?」

『あぁ、今持っていく。
仁王、寝ていろよ』

「ん…」




食器を持って台所へ行く。すると、ブン太が食器を
洗っていた。




「燐、さっきの言葉エロいぞ」

『殴るぞ、貴様』




冗談じゃーん、とか抜かす
ブン太に拳を握った。




「…燐、マジありがとな」

『礼はいい』

「…なぁ、急にこういう
のもおかしいけどよ。
アイツの事、見捨てないで
やってくんねぇかな」




見捨てる?いつ、そんな
話になった?




「アイツ、噂通り女関係
スゲーから。寝れねぇの、
多分そのせい」

『…やはり、噂は本当
だったか。それを知って
いて、見捨てる程落ち
ぶれてはいない。それに、
今放っといたら仁王死ぬ
かもしれないからな』




サンキュ、そう言って笑う
ブン太は本当に仁王の事を
心配しているんだな。
いや、ブン太だけじゃ
ない。テニス部レギュラー
全員が仁王の事が心配なん
だろう。だが、そろそろ
危ないかな。アイツ自身が
忠告に来るか。


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