恐怖の日 〜2月〜

お前らは俺がいなくなるっ
つったら引き留めてくれる
か?泣いてくれるか?




〜回想〜


『ハ…?』

「ハ…?じゃねぇ」

『何や、それ…』

「親権が俺ん家に来たんだ」

『おん』

「そうなると、氷帝に入学しなきゃならねぇ」

『誰が?』

「旭がだ」




マジか!?




『ヤダ』

「俺もそれだけは止めて
やってくれって、頭は
下げたんだが…」




お、珍しい。
(ヒデェ…)




『…しゃーないか』

「いいのか?」

『頭は下げてくれたん
だろ?それで充分』

「白石達はどうする?」




そうだ、白石。




『景吾…、謙也にだけは
知っててもらいたい。変態
伊達眼鏡に言っといてくれ』

「解った」




謙也は、氷帝について
知ってる事が多いから役に
立つし…。俺的には、
ありがたい。その時。




大阪浪速四天ほほほーじ♪ごちゃごちゃ言わんと
見とき♪




『謙也…か』

「旭、聞いたで」

『どないしょ…』

「言いにくいか?」

『おん…』

「白石には言うたらどや?」

『何でや?』

「好きなんやろ?」

『!?』




何で!?




『δζΥΧσГЩΞ@£※$¢♯ゑʼn∝∝∀!?』
「言葉になってへん」

『いやいや、何で?』

「見てたら解る」




マジか…!?


〜回想終了〜




そん時はしゃーないで
諦めた。でも、学校に来て
急に寂しく感じた。離れ
たくない。皆と、別れたく
ないと思った。




『…謙也ァ…、俺どない
したらえぇねん…』

「まだ、告っとらんのか」

『謙也並にヘタレなんや』

「俺はヘタレちゃうで!
あの事もアイツらに…、
白石に言うてへんのやろ」

『…おん』




謙也…。今…、それ
言うな…。泣けてくる…。
謙也は、昨日のうちに
侑士から聞かされた。俺が
頼んだんだけどな!親権が
景吾ん家に行った限り、
俺に出された条件は。
四天宝寺を卒業したら、
氷帝学園高等部へ入学する
事。白石達と、同じ高校
には行けへんねん。




『…ハアァッ』

「旭、何回ため息吐くねん」

『知らんわ…』

「意外に乙女やったん
やな、旭って」

『俺も知らんかってん…』




せやけどなぁ…。ため息は
出てくんねん。




『…ハアァッ』

「幸福3つ逃げてくでぇ」



誰のせいやと思てんねん。
コノヤロー…。




『白石…、いつ見ても…』

「何や?」

『眩しいわ…』

「「ハ?」」




謙也まで、ハ?とか
言わんといて…。




『溶ける〜…』

「旭!気ィしっかり
持ちィッ!」




謙也…。無理…。




「あ、そういや。明後日、
バレンタインやなぁ」

「『あ』」




謙也、忘れっとったんに。
でも、チョコは作って
あんねん。
(矛盾してるよ…)




『ちゅーか、バレンタイン
なんていらんねん… 』

「今年もすごいやろな」

「旭が貰うチョコの数」

『言わんでや…、鼻血出る』




去年は、惨状やった…。
死ぬかと思たわ…。あ、
ちゃんとコイツらには
作って配ったで?これ
でも、やから。
男子制服着とってもやねん。性別は。




『明後日お前らにやらん
とな…。めんど

「そーゆー事言わんで?」

「今年もくれるん?」

『一応、世話んなったし
なぁ』




まぁ、何かと…。




「世話んなったんは、
こっちやろ。マネージャー
さん」

『もう、引退したわ』

「でも、旭は俺らに
色々してくれたやん」




やめてや…、白石…。
そないな事言わんで…。
あと少しで、お別れや
のに…。俺、こんな
女々しかったんか…。




「帰ろか」




外を見ると、太陽が西に
傾いていた。




『もう、そんな時間か…』

「多分、アイツら待っとるで」

『せやな、行こか…』




俺らは、教室を出た。
下駄箱ん所に行くと、
いつもの面子がおった。




「遅いで!3人とも!」

『堪忍な、小春』

「旭ちゃんはえぇのよォ〜

「小春!浮気か!?」




小春も一氏も変わらんなぁ。




『ほな、行こか』

「「おん」」

『ちゅーか、珍しいん
やないか。千歳がおる
なんて』

「ん?そか?」

「言われるとそうたいね。
何でかは解らんとよ」




コイツらと、会えんく
なんの…辛いわぁ…。


『伝えられん…簡単な事
なのに…泣いてしまいそう
だから…なら俺は…君に
何も告げずに…去って
しまおうと…思うんだ…』




ふと、口から出た詩は、
今の俺自身を言ってる
みたいだ…。




「何や、悲しい詩やな」

「ホンマやねぇ…」




一氏が反応するとは思わんかった。小春は、兎も角。




『何でこんな詩出たんやろ』

「悩みすぎやからちゃうんか」

『うっさいわ!ヘタレ




そう言って、俺は逃げる。




「ヘタレちゃうわ!」




謙也が、追いかけてくる。




『うわーッ!来んな!!』

「楽しそうばいね」

「アタシ達も交ざりましょ」

「おう!行くで!!」




何故か千歳、小春、一氏も
参戦。残されたのは、
師範と白石。




白石side
何やろ、旭が言うてた
詩が頭から離れへん。




「白石はん?」

「なぁ、銀。旭の
笑うた顔、悲しそうに
見えへん?」

「せやなぁ」

「どないしたんやろ?」




何か、何処か遠くに行ってしまいそうな。何なんや、この感覚。



「白石はんは、えぇんか?」

「何がや?」

「旭はんに、気持ち
伝えへんd「ぶっ!」

「…大丈夫か?」




ちょお、待ちィ…。




「何で、知っとるん!?」
「旭はんを見とる
白石はんの目、愛しい
もんを見る目をしとる」

「ッ!」




バレとった…。銀やから、
いいけども…。




「…その内、伝えようと
思うてはおる」

「はよせんと、取られて
まうで」

「せやねんなぁ」




銀は、スゴい。そう
思うた。でも、伝えられ
へんねん。昨日も今日も。
そして、明日も明後日も。
「好き」っちゅー言葉が
言えへん。




次の日




「…ヘタレやわぁ…」




そう言って机に顔を
伏せる。




「白石も顔上げ」

「謙也ァ…」

「なぁ…、いい加減に
言ったらどうなん?」

「無理…」

「お前なぁ…」

「謙也にヘタレ言えへん
なぁ…」

「俺はヘタレちゃう!!」




何て、謙也をからかうんは
楽しいんやけど。アイツが
来るんよなぁ。




『何しとんのや?』




ほれ、来た。




「白石がヘタレ過ぎや〜
って嘆いとんねん」

「…うっさい」




言うなや、謙也。




『白石がヘタレでも
えぇんちゃう?可愛ぇって
言われんで、多分。てか、
謙也良かったやん。お仲間
増えたで』

「何のや」




嫌な予感…。




『ヘタレ』




やっぱしな…。




「お前…ッ!旭!?」

『わーッ!!』

「待てや、こらーッ!!」

「待てと言われて待つ
バカおらんスわ」




お、このクールな口調は。




「財前」

「どもッス。旭先輩は?」

「あっこ」




って、まだ謙也から逃げ
とるのか。




「旭先輩」




あ。




『ゥオッ!!あ、財前。
まず、抱き着くんやない。
離れんしゃい!』
(口調が…)

「今日も、いい匂いッスわ」

『キャラ変わったんや
ない?つか、部活は?』

「休みッスわ」




ズルいで、財前。何も
出来へんのに…、俺は。




『白石ーッ!!』

「!!」




ハッとした。




「どないしてん」

『どないもこないも
帰るで?』

「あぁ、おん!ちょオ、
待って!!」

『はよ、しぃ。これやと
どっちが男で、どっちが
女か解らんで』

「仮にも男や」

『仮かいッ!』




ハハハと笑う顔は、スゴく
綺麗で…。悲しそう
やった。何も出来ん俺は
惨めや…。
白石side終了




うわ、来てもうたわ…。
悪夢の日。




『…ハヨス』

「おハヨ」




俺の通学の仕方。白石の
自転車に背中合わせで乗る。




「『……』」




よく、考えてみると。
よォこんなん平然と…
やっとったな!!?俺!!?
あ〜!!ハズッ!!




『白石…』

「ん?」

『一緒に帰ろうな』

「何時も帰っとるやん」

『まぁ、そうやけど』

「変な奴ちゃな」

『ほっとけ!!』




こんな話も出来んように
なるんやな…。嫌や…。




「旭ッ!」

『のわっ!!』

「旭、着いたで」




気づかんかった…。




『おん…』

「あ、紙袋忘れた」

『命取りやぞ…。紙袋。
2枚あるからやるわ』

「おおきに!」




キラッという効果音が、
似合う笑顔。反則やんか…。




『眩しい…』

「また!?」




この笑顔が見れんくなん
のも嫌や…。




「白石、旭。おはよ」


「おぅ、おハヨ」

『ハヨス…』




来たで、悪夢の時が…。




『…腹くくったか』

「「おん…」」




唾を飲み込む。




『いくで…』

「『せぇーのッ!!』」



パカッ。

ドサァーッ!!




「『……ッ!』」




スゴッ!
何や、この数!
ちゅーか…。



「『よく、突っ込んだ
なぁ…』」





こんな、ちっこいトコに。
邪魔や、ハッキリ言って。
俺らの教室には、チョコの匂いが充満した。胸焼けが。


「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -