文化祭 〜10月A〜

「『お帰りなさいませ、
お嬢様』」

「「キャー」」




おぉ、客の入りがハンパやないわ。




「旭さん、注文頼むわ〜

『ありがとうございます。
ただいま向かいます』




営業スマイル。この顔も
役に立つんだな。




「旭ちゃーん、蔵リーン、
謙也くーん、時間よ〜」




小春が呼びに来た。




「『おん』」




白石が、薔薇の花束を俺に渡す。




『それでは、お嬢様方。
しばらくの間、お会い
できませんが、再びここで
お会いしましょう。失礼
致します』




抱えていた薔薇の花を
振り撒いた。




『私共からの贈り物です。
受け取って頂けると嬉しいのですが…』




そう言って教室を出た。

追いかけられないように。
廊下では、白石達が待っていた。頷くとマッハで
ダッシュした。




「旭がキザっぽい事
言うてもキザに聞こえへんな」

「流石、いとこ」

『うれしないわ』



うん、全く全然小指の
先程も嬉しくない。




「『参上!!』」

「「お、来た来た」」

『…何で似合うんだよ、
お前ら』




千歳は着物。一氏は
ブレザーの制服。小春は
セーラー。




「ハイ、衣装。着替えて
ねぇ

「「へーい」」

『…俺、マジでコレ着んの!?』




それは…。




『美姫さんが送って
よこした氷帝カラーの
ドレス…』




ってか…。




『お前ら…、何で俺の
サイズ着れんだよ…』




嫌味か、コノヤロー。




「「なんでやろ」」




ムキーッ!!
腹立つ…!




『あー!さいでっか…』

「何、怒っとるん?」




白石…。




「旭?」

『…キレー』




パシャッ。




『「!?」』

「まいど〜」

『財前…』

「儲けさしてもらいます」

『「な…ッ!!」』

「旭先輩のは、俺が
もらいます」

『コラ!待て!光ッ!!』

「…今、名前で呼びましたね?」




ハッとする。謙也と小春
以外で名前で呼ぶんは、
久しぶりかもせぇへん。




「俺も名前で呼んでほしか」

『千歳ッ!?』

「名前」

『せ…せせ千里』

「むぞらしか〜」

『可愛くないッ///』




だから、何処が可愛いんだ!!




『つーか、着替えるから
出てろよ』

「「ハイハイ」」




とは、言ったものの…。




『手が届かねぇ…』




後ろに手が届きません。
ファスナーが閉められん。
クソーッ。




『誰か、いらっしゃい
ます〜?』

「どないした?」




ワオ。よりによって!




『白石…』




死んでまう…。しかし、
出れねぇんだよ。閉め
ないと。




『白石…、非常に頼み
憎いんやけど…』

「おん」

『後ろ閉めてくれへん?』

「……ハ?」




うん、そうなるよな。
でも、届かないんだよ!




「入ってえぇ?」

『おん、ファスナー閉めるだけやから』

「ほいじゃ、失礼」




どわーッ!メッチャ、
焦ってんのに顔に出ない
俺ってスゲー!!




「ホレ、閉めたで」

『おおきに』

「どういたしまして」




外に出ようとした時、
躓いた。




『わッ』

「気ィつけや」




白石がおって助かった…。
ハズいけど!




白石side
「……ハ?」




何やて、この娘は。後ろ
閉めてて、女子に頼めや!
俺、男やで!!ナース服
着とるけど!!でも、
閉めてやらんと出られへんな。




「入ってえぇ?」

『おん、ファスナー閉めるだけやから』

「ほいじゃ、失礼」




だーッ!!何で
冷静にいられるんや、この
娘は!俺、男なんやけど!
もしかして俺、男に
見られてへん…




「ホレ、閉めたで」

『おおきに』

「どういたしまして」




足元が見え難いから、
旭を待ってた。
案の定、コケた。




『わッ』

「気ィつけや」




俺がおったから良かった
ものの…。それにして
も…。キレイや。あー…。
ホンマ、俺重症や。
白石side終了




「「いらっしゃいませ〜」」

『いらっしゃい…』




小春、一氏お前ら尊敬
するわ。




「旭先輩、はいコレ」

『何や、コレ…』




ティアラとカラコン?
しかも、アイスブルー。




『何をせよと?』

「眼帯外して下さい。
眼帯の下の眼のいろと
同じなんで」

『コレの為に、わざわざ
買ったん?』

「否、カラコンは買い
ましたけど。ティアラは
借りました」

『誰に?』

「跡部さんのお袋さんッス」

『財前…、お前って奴ァ…』




何でこんなに用意周到
なんですか!




「もう名前で呼んでくれ
へんのスか?」




こいつ…ッ!
確信犯だ!





『そ、そんな目で俺を
見んなッ!着けるから!』




敵いません。何で
可愛いんだ!コイツらッ!
その時。




「よォ、似合ってんじゃ
ねぇか」

『ッ!!?』




何で、この声が…。




『空耳や…うん』




「メッチャ、キレイやん
なぁ」

『あ〜、侑士の声もする…』

「旭ーッ!会いた
かったC〜!」

『ジロー!バッチコイ!』

「「お前…」」




ジローは、可愛いから
いいんだよ!!




『何で、お前らいんだよ』

「手紙に書いてたハズだ」




あの、グシャッ
握り潰した?




「ハイ、旭先輩」




財前は、後ろから手だけを
出した。




『後ろで何してるんだ?
財前君』

「ハズいッス」

今さらか!メイド
さんコスして!何言うか!』

「言わんといて下さいッ!」




まぁ、いいや。
(いいのか?)




『P.S. 景ちゃん達を
行かせるからね〜。
……。アホかーッ!!

「旭!暴れてへんで
手伝え…や」




白石が、固まった。




『白石〜?白石〜!
蔵ノ介ー!!

「ハッ!」

『あ、戻った』

「何で、氷帝がおんの?」

『美姫さんの手紙に
書いとった』




俺が言うと、白石は苦笑
した。




「白石…」

「何や、跡部」

「違和感無さすぎだろ」

「褒めとんの?それ」

『安心しろ、白石。
景吾も、違和感ねぇんだ』

「うっせぇ」




おーおー、顔を真っ赤に
しおってからに。




『ホレ』




一枚の写真を取り出した。



「な…ッ!」

「「何で持ってんねん」」

『お守り?』




しかも、疑問形というね。




「ホンマや…」




可愛かったんや、こん時
までは。今は…。




『何故、ナルシストに…。
あの純粋だった景吾はどこ行きおったんや…』

「喧しい」




そんなこんなで無事に
終わった。




『結果は3−2が最優秀賞』

「テニス部は、一番
笑かしたで賞とユニーク
で賞」

「やな」

「まだあるやないのォ〜」




ギクッ!




「旭ちゃんの似合っとった
で賞」

『嬉しくあらへん…』



オマケ

『なぁ、景吾』

「あ?」

『何で、俺のスリーサイズ
判ったんだ?』

「「「え゛!?」」

「あぁ、母親に聞いたのと」

『と?』

「ジロー」

「『ハ?』」

「ジロー、よくお前に抱き付くだろ?」

「何となくだけど、跡部に言ったんだC〜」

『ジロちゃん…』




君だったのか…。




「そしたら、ピッタリ
だったって訳だ」

『ほー…』

「バストは『言わんでいい!』

「え〜…」

『そこ、残念そうな顔
すんな!』


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