君のとなり 〜4月〜

こんな事、考える訳
なかった。彼奴等の
そばから離れるなんて。
いとこの口から聞く
までは…。




『ふぁ〜…、ねみぃ…』




めんどいわ、入学式の
準備なんて2年に任し
ときゃええやん。




「旭〜!」




後ろからものごっつい
速さで走って来とんのは
同じクラスの忍足謙也。
朝から、やかましい。




『ハヨス、謙也』

「どわァァッ!」




ガショーン!




毎度毎度よぉやるわ。
俺は、無難に彼奴を
待つ。



「謙也ァ、甘いで!」




そういって、走ってくる
奴。




『来おった』




そいつは、地面を蹴って
俺等を飛び越えた。




「ん〜、エクスタ(ズシャッ)
…っ!?」




そのままドシャッと
落ちてくる。ありゃ、
痛いわ…。




『そのまま、ポックリ
逝ったらええねん…』




ボソッと呟く。




「「勝手に殺すな!」」




このやり取りが楽しいん
よな。



「ハヨざいます、
旭#先輩」

『ハヨス、財前』

「部長とついでに
謙也さんもハヨッス」

「俺だけついでか!?」

『気にすんなや〜』

「気にするわ!?」



謙也の事は放っといて、
どんな1年が来るん
やろなぁ。楽しみや。




「ちゅーか、旭。
体育館行かんでえぇ
のか?」

『だァァッ!忘れ
とった!小春ちゃん
堪忍なァッ!』




マッハで体育館に
向かって走る俺。
ホンマ、ゴメンやで
小春ちゃん!




『椅子は、きちんと
並ばせや〜!』

「旭ちゃん、お疲れ様」

『小春ちゃん、挨拶
これでえぇやろか』

「えぇやないのォ♪」

『おおきに』

「旭先輩、小春先輩
差し入れッスよ」




お、財前や。珍しいわ、
コイツが差し入れ持って
くるやなんて。明日、
槍でも降るんやないか?




『おー、おおきにな』

「そこ置いといてなぁ」

「ウィーッス」




コイツも生意気な癖に、
やるときゃやるんやな。




「何か言いはりました
よね」




いやいや、言うてへん。
つか、




『いはいんはへほ…』




つねるな、頬をつねんな
や。そして、地味に
痛いわ。




「旭先輩のほっぺ気持ち
えぇッスわ」

『えぇはへんひへぇ!』




離してはもろうたが、
痛い。おもっくそ、
つねりよってからに…。




『そういや、財前は
知り合いとか幼馴染みが
入学したりせぇへん
のか?』

「…手のつけようが
ない、ゴンタクレが
来よります」




財前の顔が少し、青く
なった。それだけ
嫌ねんな。その子が
来んの。




『時間になるで!手伝い
おおきにな。解散や』




手伝ってくれた生徒が、
ぞろぞろと体育館から
出ていく。




「俺も戻りますわ。
旭先輩、後で」

『おん、後でな』




財前も、体育館を出る。
ま、俺は生徒会長やから
残っとらんとアカンか。
めんど。




「うちも残るで♪」




小春ちゃん、軽く心
読んだよな。でも、
そんな事は言わない。




『おおきに』




ニコッと笑って返す。




「ホンマ、男前やわァ」

『誉め言葉として受け
とってええんよな?』




あたりまえやん
何て言われても困るわ。
財前が差し入れして
くれた、茶ァ飲んどった
時。




「旭ちゃん、蔵リンに
伝えへんの?」

『何をや?』

「気持ち」

『ブッ!』




何を言い出すんやと
思えば、そう来るん
かい…。つい、吹き
出してもうたやん。




『あ〜…、おん。今は、
ええねん。今は、隣に
おるだけで嬉しいんや』




否、本当は今の幼馴染み
っちゅー関係を壊した
ないだけやねん。ただの
ヘタレやねん。




「旭ちゃん…、健気
やなぁ…」

『小春ちゃん。健気や
ないで、俺は。いとこが
いとこやからな、
そういう性格なだけや』




うん、この性格は彼奴と
同じ。似たくて似た訳
じゃないが、血筋という
ものは恐ろしい。




「跡部君やろ?」

『…なんやろ、この
名字に抵抗があんのわ』

「自分の名字やろ?」




そうなんやけどもさぁ。
いとこが景吾だっていう
のに抵抗がある。




『お、そろそろ来るんと
ちゃうか?』

「準備しよか」




2、3年がぞろぞろと
体育館に入ってくる。
その後に、新入生。
2、3年に新入生も
加わるとゴチャゴチャ
しとるなぁ。うん、
気持ち悪ッ!
そして、校長話長ッ!




「最後に生徒会長の
お話です」




あ、やっと出番?長い、
長いわ。




『えーと、生徒会長の
跡部旭や』




ざわっ




うん、やっぱざわつくん
やな。予想はしとった
で?全て…
ァンのクソヤローの
せいや





『ざわついとる所悪いん
やが、俺の名字で騒い
どんのなら一つ言う
とく。俺のいとこや


ざわっ!?




余計にざわついたが気に
せぇへん。それが俺
やから。




『あ〜、新入生は学校に
慣れるまで大変かもしれ
へんけど。ま、頑張り。
以上

「「ハヤッ!?」」


ツッコまれても、
シカトやシカト。
一々反応なんてして
おれへん。あ?理由?
めんどくせぇ。
ま、後は小春ちゃんと
一氏のお笑いコンビに
任して俺は逃げる。何故
って?決まっとるやん。
めんどいから。
(キッパリ)




『疲れた…。誰や、俺を
生徒会長に推薦した奴』

「俺〜」

『せやろな〜』

「俺もッスわ」

『財前…』





まさか、お前まで
とは…。初耳だぞ。
そして何故か悪寒が…。




『なんやろ、この嫌な
予感…』





この予感は、この後
現実の事となる。
あ〜、ヘリの音が
聞こえる。気のせいや、
うん。




「何か、あのヘリこっち
来てはりません?」




頭痛いわ…。その時。
バラバラッ!




「『!?』」




飴が降ってきおった。
こんな馬鹿げた事を
すんのは1人しか俺は
知らん。




『ハーッハッハッハ!
四天宝寺の新入生よ、
餞別として受けとれ!
そして、旭を
よろしく!』

『喧しい!
とっとと帰れ!!
泣きボクロォーッ!!!』





拡声器で怒鳴る。




「「何処に持っとったん
(や/スか)?」」




そして、何故か目の前に
ガムが落ちてきた。


「それで満足だろ、
アメガム依存者が」

『るせぇッ!』




あんのヤロウ…。




『くたばれ!』




口にガムを放り込む。




「でも、ガムは食うん
やな」

『一週間食っとらん』




その時。




バンッ!




『「ビクッ!?」』




不覚や…。突然開いた
扉の音にビビってもうた
わ…。



「光ーッ!!」




赤い髪の子が飛び込んで
きた。で、飛び込んで
くる勢いがスゴい。




「わっ!遠山!?」




財前は避けきれず、
真正面から衝撃を
受けた。そして、財前は
吹っ飛んだ。




『「あ…、危な…ッ」』




条件反射で、避けて
もうた。財前、堪忍。
ちゅーか、財前…。




『生きとるか?』

「何とか、生きとり
ます…」

『コイツが、ゴンタクレ
か…』

「さいですわ…」




財前が言うとった1年。
コレは、手ェ付けられん
わ。




「ワイ、遠山金太郎
言いますねん!
よろしゅう!」

『か…』

「「か?」」

『可愛えぇ!!』

「旭が、乙女に
なっとる…」

『学ラン着とっても、
性別は女や』

「せやったな」

『金ちゃん、おいで!』


金ちゃんは、俺の腕に
スッポリ収まる。また、
賑やかなんが増えた
なぁ。


「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -