肝試し 〜7月A〜

『なぁ…』

「ん?」

『何でよりによって
ここなんや?』

「オサムちゃんが、ここ
しか取れんかった言う
とったで」




あのオッサン…




『帰りたい…』




目の前墓地って
なんやねん!日吉好き
そうやな…。




「旭ちゃん、怖いの?」

『違う意味でや…』

「顔、青いで?」

『一氏…、何か羽織る
もんくれ…。寒い…』




異様に寒い。やけど、
コイツらは平然として
おる。なんでや!




『荷物置いたんか〜…』

「元気あらへんなぁ」

『寒気すんねん…』

「無理しなや?」

『おん…』




白石に、迷惑かけとる
なぁ…。テニスコートで
何時も通り球拾い。




『ふぅ…、ん?』




コートの外に男の子がいた。




『自分も、この合宿所に
いるんか?』




男の子は、喋らず頷くだけだった。




「旭先輩?」

『あ、財前』

「何してんスか?」

『少し話してたんや、な?
って、あり?』




男の子は、いなかった。




『何処行ったんやろ…。
この合宿所におるらしい
で?』

「旭先輩…、脅かす
つもりは無いんスけど…。
この合宿所に俺らしか
いないッスよ…?」




ハ?なんやて?




『嘘やろ…?』

「嘘やないッスわ」




フラ〜…ッ。

バタッ!




「「旭(!/ちゃん!/先!)」」




不覚にも倒れた。




『……ッ』


「旭、気ぃついたか?」




目の前に白石が…。




『あ〜…、何かスマン…。
今、何時や?』

「6時やで?」

『あ〜…、6時…。
……ハ?6時ィッ!?




あれから、何時間倒れて
たんや!?俺!?




『ホンマにスマン…』

「看とったのは白石だけ
やで」




え、謙也。それ、マジ?




『白石、おおきに』




不意に、笑うてしもた。




「「///」」

「(無意識ほど怖いものは
あらへんわぁ)」




小春は、思った。




『あの、非常に頼み
にくいんやけども…』

「言ってみ?」

『…一晩ここに泊めて
もらえへんやろか?』

「「ええで」」

『即答!?』


少し、考えてくれても
ええんやない?俺は、
別ええけど。で、いざ
寝ようと試みるが…。




(寝れねぇ…ッ!)



左隣は、いい。財前
やから。問題は…。右。




『(何故、白石!?恥死
するで!?俺!?)』




つか、何で挟まれとん
ねん。俺は!小春ちゃんの
一言だ。




「くじ引きよ!」




こういう時だけ、運が
良いんだか悪いんだか
わからへん!しかも、
動けへん!何故かって?
白石の腕が腹の
上にあるからやッ!





『(寝れへん…)』




次の日の朝。




『眠い…』

「大丈夫か?」

『これが大丈夫に見える
んか、一氏ィッ!!?』




目の下のくまが見えん
のか!おどれェッ!?




「旭、無理しなや」

『大丈夫や』




昨日も迷惑かけとんのや、無理でもやる。あ、
無理やないけど。
そしてこの後、俺は
オッサンを恨む事になる
とは…、思いもしなかった。





夕飯を食べ各自の自由
時間に悲劇は起きた。




「おー、お前らー。
肝だめしすんでー」

「『ハ?』」




いやいや、何言い出し
とんの!?何?肝だめし
やと!?ふざけとんのか!
オサムちゃん!!俺は、
肝だめし無理なんやで!
(違う意味で)




『俺、パス…』

「「却下」」

『Why!?』




マジでか!助けて、
景吾!!(こういう時だけ…)




「ちゅー訳で、肝だめし
やでー」

「「イェーイ」」

『イェー…』




帰りたい…。
(何回言うんだ)




「組合せは…」

『!?』




まさか…ッ!?




「くじ引きやでぇ!」

『嫌やぁッ!』




ほれ、みろ。




『こうなっちまったやんか』

「なんや、俺やと不満か?」

『んな事あらへん』




俺、スゲェ。内心
パニクっとんのに、顔は
平然としとるというな。




「白石、旭行ってこーい」




後でしめたる、あの
オッサン。




『………』




いかにも、出そうやな。




「旭、怖いんか?」

『違う意味でな』

「手、繋ぐか?」

『ヴェ゙ッ!?』




俺らしからぬ驚き方…。
って、ちゃうやろ!
何、手?手ェッ!!?




「ほれ、行くで」

『あ、チョッ!?』




手、つな…ッ!あ〜!
ハズい!何て、
思っとったら。




「ま〜て〜や〜…」

「『!?』」




後ろを振り向くと、得体の
知れないもんがもの
ごっつい勢いで走って
きた。




『「どわぁーッ!?」』




追いかけられたら、
逃げるのが人間の性
だよな。




『絶対謙也やろ!?あれ
謙也やろ!?』

「絶対な!?な、ヘタレ!」

「ヘタレちゃうわ!」




謙也やん!
死ぬ…。疲れて死ぬ。
もう、嫌や。




『めんどい…』

「後、少しやから。な?」

『おん』




その時。目の前に、
血だらけの男の子がいた。



お兄ちゃん、お姉ちゃん。
遊ぼ?





『「ア゙ーッ!!」』




俺と白石は手を繋いだまま
走り出した。




「おー、お帰りー」

『何や、アレ!?
クオリティ高ッ!!』

「アレ誰やったん?
金ちゃんか?」

「なんの事や?」




俺と白石は、さっきの事を
話した。




「血だらけ?血糊は用意
してへんぞ?」

『じゃ、さっきの男の子
は…』




俺は、血の気が引いた。




『んな、アホな…』




忘れられない、合宿と
なりました。めでたし、
めでたし。



『めでたくないわ!!』




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