あの子は誰…?





今日は珍しいもんを見た。
全力疾走する叶さんと
キレた財前。滅多に見ない程の
激レアさだった。



「財前、叶を追っかけるや
なんて珍しいんちゃうの?」

「あ?聖夜の奴また何か
やらかしたんか?」

「ユウジ先輩、どういう教育
してきたんスか。人の弁当、
食い逃げしよったんスよ、
マリアの奴」

「あ〜、堪忍な。ったく、
聖夜に言うとかんとな。
とりあえず財前、今度ぜんざい
奢ったるわ」




そう、この会話から解るように
ユウジと叶さんは
幼馴染みだ。何となく似ている
から自然に対応できるのかも
しれない。




「ほな、白石またな」

「おん、気ぃつけて帰りや」

「白石もな」




他の部員を帰らしたあと、俺は
いつも通り自主練を始める。
部長と言うこともあるし、何より
聖書と呼ばれているからにはな。
そうもあって基本をしっかりする
ために夜遅くまで自主練をして
いる。自主練の事は部員の誰にも
言ってない。




「…こんなもんか」




いつも通り帰ろうとした時、
体育館横の部室の明かりがついて
いるのに気付いた。




「俺の他にも残っとる奴が
おるんか」

『ちゃうねん!』

「ッ!?」



何だ!?いきなり…。中を覗くと
1人の女子がいた。




『そこまで頑張らんでいい。
自分は皆の為に頑張っとるやろ。
それで自分が身体壊したら世話
ないやん。自分の頑張りは
アタシが1番解っとるから。
だから、無理せんといて』



…何故だろう。自分に言われてる
訳でもないのに、じーんとして
しまった。しかも、鼻の奥が
つんと痛い。目頭が熱い。視界も
ボヤけてきた…。




「何で、俺…。泣いてんねん…。
アホか…。」




それにしてもさっきの子は一体
誰なんだろう。演劇部であると
いうのは解った。




「あんな子おったかな」



俺が知らないだけだろうか?













あの子は…?

(明日、探そう)


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