喜劇の始まり



この頃、何処かつまらない。何故
だか解らないけどな。普通の
日常に飽きたのか。



『あ、白石先輩。こんちは』

「あ、えっと叶さん
やったっけ。こんちは」




でも、この子。叶さんと話す
のはつまらないとは感じない。
逆に楽しいと思うくらいだ。




『あ、俺光から逃げとったん
やった。ほな、白石先輩失礼
します』

「あぁ、気ィつけや」




何処か落ち着いた彼女は男勝り
(自分で言うのはどうかと
思うが)という所を生かして
演劇部に入っているらしい。
(財前によると)いつも、
黒縁眼鏡をかけているため、
知的に見える。だが、知的なのに
何処か抜けている。



「お、叶来とったんか」

「あぁ、まぁな」

「部長、謙也さん」



呼ばれた方に振り返ってみると
財前がいた。



「どないしたん、財前。この
階に来るやなんて」

「マリア来てはりません
でした?」

「「マリアって誰やねん」」

「ああ、叶ッスわ。アイツ、
逃げよってからに…」

「叶さんならさっき、
俺と話しとったわ」

「チッ、遅かったわ…」



…叶さん、アンタ何やらかし
たんだ。財前がイライラする
なんてよっぽどの事だぞ。



「「あ…」」

『ぅわ、見つかった』

「マリア、ちょお面貸せや」

『嫌や』






プツン





…今、何か切れたよな。




「叶さん、はよ逃g
「マリア、テメコラ待てや!」

『待て言われて待つアホが
おるか!』




…初めて見た。叶さんが
全力疾走してる所、あと財前が
キレてる所。明日、嵐でも
来るんじゃないか?



「今日も賑やかやなぁ」

「白石〜、帰ってこ〜い」



この時の俺はまだ知らなかった
のだ。これから起きる事に自分が
振り回されるという事を…。













劇の始まり

(まだ、やっとる)

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -