あー、ホントに…。
餓鬼は鬱陶しい。




「お、庭の桜咲き始め
とるなぁ。開花、祭りの
日に間に合うとえぇなぁ」

『桜だぁ?どーでもいい、
んなコト』




桜なんつーモンは、俺に
とって不快なもの。
桃色の木、そんだけだ。
ただ1年が過ぎた事を
知らせる目安でしかねぇ。
嫌な程見てきてウンザリ
だ…。




「でも、ちょうど当日
満開になったらチビッコ
らのえぇ思い出になって
くれるんやないか」




思い出、か…。




「餓鬼ん時の記憶は大人に
なると、曖昧になってまう
けど、あれが綺麗やった
とかあれは楽しかった
とかは心に残るんちゃう
かな」





心に…か。




『俺ァ、そーいうモンは
よくわかんねぇ。餓鬼の
頃の思い出なんて忘れた。
…生まれた時から親も
兄弟も何もかも知らねぇで
生きてきたからな』




確かな記憶なんざほとんど残っちゃいねぇ。






ただ…。





ただ1つ今でもハッキリ
覚えてんのが、学校から
聞こえる笑い声が









気にくわなかった。






「キャー!!」

「やめろよー!」





うざかった。
「お前は1人だ」と、
思い知らされてるようで
世界中の全てが自分の

敵に思えた。



 
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