低体温

あ〜、さぶッ。
寒い通り越して痛い。くそ。
手袋さえ忘れなければ…。こんな思いしなくて
済んだのに。






『あ〜…、じっぱいじだ…』






呂律すらおかしい…。
さみ…。






『くそじゃんか』

「どしたんじゃ?」

『…にお…』







ったく、どーして
こーいう時に。
コイツに会うかなぁ。








『どーもしない、じゃ』







そそくさと歩き出そうとしたら






ぐッ!







『カハッ!』








マフラーを引っ張られた。





『何すんのさ!
首絞まったわ!』






ゲホゴホ…。
死ぬかと思った。







「寒そうじゃの、耳と手」

『…低体温だからだよ』






参ったね、何て笑う。







「これ、貸してやるぜよ」






渡されたのは、イヤーマフ。






『…いいのか?』







おぅ、何て笑うから断るのは
申し訳ない。







『ありがと』







装着。
あ、暖か。






「あとコレも」






手渡された片方だけの手袋。






『…どーしろと』

「右手に着けんしゃい」







着けてみる。
何このチグハグ。







「片方はこうするナリ」








そう言って仁王はアタシの
左手を握った。









「こーすりゃ暖かいじゃろ?
八神」







そう言って、ニッと笑った。







『…うん』








胸の辺りがポカポカした。何でだかは解らない。
解ったのは君が
以外に優しいんだということ。














体温も

(悪くないかもしれない)






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