テニスコートに響く声



流石だと思う。
生徒会長で、テニス部部長。
そんなハンパない仕事を
している奴。
あ、奴なんて言ったら
ファンの子達に殺られるか。
でも、そんな事が出来るのは
彼奴だからなんだと
アタシは思う。






パチーン






『あ、指鳴らした』





まぁ、明日からは聞けなく
なるのか。
明日で引退。
テニスに捧げた夏。





『跡部はスゴい、ねぇ…』




彼奴の事だからどうせ、
1人で抱え込んでるだろ。
スゲーんじゃねぇよ、
ただ人に弱味を見せない
だけなんだ。
人一倍プライドが高いから。





『1人でよくやるよ』






さて、勇姿を拝みに
行きますか。





『最後だし』






テニスコートに近づくに
つれ、声が大きくなる。
声…か。聞けなくなるのは、
寂しいかな。




「八神!」





ほら、コートに響く。





『お疲れ様、跡部』

「あぁ」

『…終わっちゃったね』

「あぁ」

『悔しくない?』

「全く、と言ったら
嘘になるな」





だろうね。





『今日くらいは
良いんじゃない?』






弱い所見せても。


「…」

『アタシがいるから』






全部流しちゃえ。
そして、明日からまた
笑えるように。
君の声が聞こえないと
みんな、不安に思うんだよ。











テニスコートにく声

(君の涙につられて)






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