不思議な奴

うるさい…。





「「仁王君!これ貰って!」」

「スマンのぅ。気持ちだけ
受けとるきに」






うるさい…。
だから、この日は
嫌なんじゃ…。





12月5日





俺の誕生日。
他の奴等から逃げるように
屋上へ向かった。





「ここだけじゃの。
落ち着くんは」






ガチャ…。







「!」







誰じゃ?女子?






『毎年、毎年大変だね。
詐欺師君』






何…。俺を知っとる?







『テニス部の誕生日ほど、
見てて楽しい日はないよ』






傍観者のような口ぶりを
する奴を俺は、コイツしか
知らん。






「八神…」

『やぁ』







不思議な奴ぜよ。
唯一、俺達テニス部に
媚を売らん奴。
フラッと出てきて、
フラッといなくなる。
今時、珍しすぎる。






『毎回、ここに逃げるんだ』

「まぁの」

『誕生日、嫌いなんだ』

「あんま、好きにはなれん」

『ふーん…』






不思議だ。
ホントにコイツは。





『じゃ、僕は戻るから』

「おぅ」

『あ、これあげるよ』







そう言って、八神は
俺に向かって何かを投げた。







「!」

『誕生日おめでとう』







バイバイ、何て手を振る奴。







「…面白い事するのぅ」








手の中にあるのは八神が
くれたアメ。俺の心には何か
暖かいものが残った。













の中に残る

(暖かくも不思議な気持ち)






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