金木犀



『うわぁ、金木犀の香りだ〜』





これが、香り始めると
秋だなぁって思うんだ。
そして、少し遠くでテニス
ボールを打つ音がする。






『柳、頑張ってるかなぁ』





柳とは図書室で話してから
仲良くなった。






『柳、来ないかなぁ』






そう言って来たら
世話ないけど。






ガラッ!





『!!』





突然ドアが開いてビックリした。





「ここにいたのか、八神」

『あ、柳だ』

「珍しいな、教室に
いるなんて」

『そうかな』






柳がそうだって言うから
そうなんだろうな。






『柳ってさ、金木犀
みたいな人だよね』

「ハ?」





そんな開眼して驚く事じゃないじゃん。






『ボクはそう思うんだ。
柳のコト』

「花言葉は確か…思いやりが
ある人」

『あと、気高い人』

「そうでもないぞ」

『否、仲間思いなのに自分には厳しいでしょ』





何だそれはって言うけど、
その通りじゃん。


「そう言われたのは、八神が
初めてだ」

『ボクはそういう柳
嫌いじゃないよ』





また柳は開眼した。





『驚かなくても良くないかな』

「スマン…。それは、
本気か?」

『嘘じゃないよ』

「好きととっていいんだな?」

『うん、いいよ』






そうかって言った後、柳は
ボクを抱き締めた。





『柳…?』

「俺も露希が好きだ」

『本当?』

「本当だ」

『ありがとう』





柳が抱き締めてくれたから、
僕も抱き締め返すんだ。





『ねぇ、柳部活は?』

「今日は、早く終わるんだ」





珍しいな。
じゃあ…。





『一緒に帰ろう』

「そうだな」





柳っていう金木犀の花が
あるこそ風であるボクは
輝けるんだ。















にのるのは

(あなたの甘い香り)






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テーマ「人外ファンタジー」
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