そっと自分の頬を触ると何か
暖かいものが伝っているのが
解った。涙なのか。



『…何で、泣いとるんやろ』

「終夜さん…、泣かんといて」

『へ…?』



顔を上げると白石さんが涙を
掬ってくれた。





ツキ…ッ





まただ、痛い。何で、優しく
するんだよ。その気もない
くせに…ッ!






『…んで』

「ん?」

『何で、優しくすんねん…ッ!』

「!」

『人の気も知らんで!白石さんは
何で、好きな人おるくせに何でや
ねん!…何で優しくすんねん…』




胸が痛い、こんな事が言いたい訳
じゃない。ホントは、伝えたい
んだ。





『諦められへんやんか…』

「…諦めんといて」

『は?』




白石さんの顔は、優しくも悲しい
そんな表情だった。




「俺、自惚れてもえぇん…?」

『はい?』

「終夜さんが俺ん事好き
やって」

『…ハイ』




その時、不意に抱き締められた。




『白石さん…ッ!』

「俺も好きやねん、終夜さんの
事」





ハイ?




「結構前から好きやってん。で、
今日貰た本見て確認したかった
んや」

『本?』

「これ」

『bonule?』

「後書きの次のページ」

『…ッ!』



これ…ッ!





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テーマ「人外ファンタジー」
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