なんだろう、白石さんが女の人と
話していたのを見たら胸の辺りが
痛んだ。何だったんだろう。
「そういや、ずっと聞きたかった
んやけど」
『何スか?』
「終夜さん、恋愛モノて
書かへんの?」
『…書かへんのやなくて、
書けへんのです』
「何でや?」
『今まで人を好きになった事が
ないんスわ』
そう、昔から人を好きになれ
なかった。扱いは別にどうでも
いい。この容姿で女子に告られる
のはよくあった。それで、男子に妬まれることもあったし、
それにいつもの事だから気にも
していなかった。
『気にもかけんでいたら、自分は
なんなんやろ、て思い始めたら
恋愛モノなんて書けへん
かった…』
「大丈夫や、終夜さんなら
書けるて」
『白石さん…』
白石さんは、やっぱり優しい。
…恋愛モノ書いてみようか、そう思った。
誰もが
(悩んでいる)
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