俺はルト王子の前にしゃがみ、ずいッと手を前に出した。


もちろん、毒林檎付き。




『どうぞ、ルト王子。見舞いの品です』




隙間はあと数センチ。




『あと、早く蔵に薬を』




今はそれが一番だ。




『ありがとう』

「どうって事ないで?」

『結局俺は、蔵ノ介の毒にしかならなかった』

「白雪が気にする事やないよ」
「私とケンヤが蔵への注意の思慮に欠けていた、以上」





瑠璃…、ケンヤさん…。




「俺はあん時、白雪に蔵て名前呼ばれてめっちゃ嬉しかったんやけど」



あんな事があったのに。

何で、笑ってられるんだろう…。




「それに、白雪に会えたんは運命やと思いたい」





『…ありがとう』

「いくで、白雪」

『何処へ…』

「俺等の国」



…プラリネ王国。


まだ、自分の道を外れてはいないんだ。


助けて貰った恩もある。


何より



この人達と一緒にいたい。






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