毒林檎
わざわざ探しに来るなんて…。
何の為に国を出たのか…。
逃げられないと言うことはわかった。
「…つまり、家を空け遠出している白雪の身を案じて、この国境付近の町に来ている、と。随分執念深い紳士やな」
『上手い事言うね』
「笑い事なん!それ!」
ケンヤさん…。
笑うしかないんだ。
『相手が相手だったもので…』
蔵ノ介から目を逸らせない。
『…アングラーの第一王子だったんで』
「ルトとか言うバカ王子か!」
『…隣国にまで…』
どれだけバカなんだ。
それにしても、どうしようか。
『…あの人からしたら、果物屋で林檎を買う程度なんだろうな』
「…」
『籠に入れるなんて、わけないか…』
「え…」
『…何てね』
シャクッ。
『!』
「行儀悪いで〜、蔵」
「何見とんねん!しかも呼んでへんし!引っ込んどれ!」
「傷つくわ〜」
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