気の抜けたソーダ水
暑い…。まだ、五月
だよ…。あ、暦上では
夏か。手に持つソーダ
水が気持ちいい。
『…そんな中、飛んでる
アイツは何なんだ』
ピョンピョン飛んでる
アレ。
『岳人ってさ、ソーダ
水の泡みたいだね』
って呟いたら、ハ?って
言われた。
『パチパチはじける泡。
元気だってことで』
「何だよ、それ」
『何となくだよ、何と
なく』
ふーん、って。お前な…。
「じゃあ、結は気
の
抜けたソーダ水だな」
『ハ?』
「今の状態の結」
あ、なるほど。確かに
今、気抜けてるわ。
『暑いからだよ。
気抜けるのは』
それは言えてる、なんて
笑う岳人。その笑顔も
ソーダ水みたいに
キラキラしてる。持って
いたソーダ水を飲むと
気の抜けたあの独特な
甘ったるい液体が
流込んできた。
『…あっま』
気の抜けたソーダ水
(溶けたのはアタシ)
アトガキ
意外に気の抜けた炭酸は
好きだな、個人的に。