苦くて甘い


2月14日。ある人は決戦の
日、ある人は某お菓子会社の
策略だと言う。そして、ある
人は誕生日だったりする
のだ。



『…毎年の事だけど、チョコ
だかプレゼントだか
解んないな』

「あはは、しょうがないよ。
今日が誕生日だから」




そう、アタシの幼馴染みの
長太郎はバレンタインデーが
誕生日。可哀想に、誕生日=
チョコレート地獄なんて…。
それは、中学、高校に
引き続き大学生になっても
変わらずこのような有り様。
積みに積まれたギフト
ボックス。跡部さんの力を
借りなきゃダメだな、この
量じゃ。




『…って、噂をすれば』




携帯が鳴った。跡部さん
からだ。内容を見てると、
変わらないなって思った。




「結、どうかした?」

『ねぇ、長太郎。今日の夜
空いてる?』

「うん、空いてるよ」

『よし、皆で飲み行くぞ!』

「皆って?」

『氷帝テニス部レギュラー』




長太郎は最初目を見開いてた
けど、すぐに嬉しそうな顔で
笑った。




『宍戸さんが迎えに来る
ってさ』

「どこ行くんだろう」

『いつもの所じゃない?』

「跡部さん、合わなく
ないかな」




…想像したくないかな、
うん。って言うより
出来ないが正しい。




「長太郎!結!行くぞ」

『早くないスか、
宍戸さん!』

「跡部がうるせぇからよ」




…跡部さん、あなたが一番
変わっていないと思う。いい
意味で。兎に角、宍戸さんの
車に乗せられて向かった
先は。




『…跡部ッキンガム宮殿』




そうか、跡部さんが
いるんだ。自分家提供
するに決まっている
じゃないか。何で、その事を
忘れていたんだ。




「来たな」

「跡部さん、これは?」




パチン




「「ハッピーバースデー!」」

「!?」




…何となく予想はしていた。




「ありがとうございます!」




この後、レギュラーだった
皆でわいわいとして
笑ってた。やっぱり、これ
くらいの賑やかさは逆に
落ち着くんだな。そう
思った、今日この頃。












苦くて

(この賑やかさが大好き
です)









『あ、手間省けた』

「結、どうした」

『ハイ、どうぞ』

「何や、これ」

『ハッピーバレンタイン!』

「「!」」









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