永遠の孤独に終止符を


彼はずっと独りで生きて
きた。出会うまで、彼の
瞳は死んでいた。光が
見えなかった。



「何しに来た。また、
俺の所に来るなんて。
お前相当変わってるな」

『こんな所で独りで
住んでいるあなたには
言われたくないわ』



彼がどれだけ長い間
ここにいたのか、私には
解らない。それでも、
スゴく長い年月をここで
過ごしたというのは、
彼の瞳を見ればすぐ
解った。彼の青い瞳は、
奥に行くにつれて深い
青と変わっていく。



『ねぇ、景吾』

「あ?」

『何故、あなたはここに
いるの?』

「…何故、だろうな」

『あなたが吸血鬼
だから?』

「!?」



景吾は青い瞳を
見開いた。まぁ、当然の
反応よね。



「知っていたのか…」

『知らないとでも
思った?』

「知っててここに来る
お前の気が知れないな」

『あなたが好きだからよ』



今度は、ふッと鼻で
笑った。何よ、失礼ね。



「俺とお前じゃ種族が
違う」

『人間だから何よ』

「俺はもう死にたい
んだ。だが、死ねない」



景吾のその一言は私に
重くのし掛かった。
何故、そんな事を
言うの?何故、あなたは
そんな悲しい事を言うの?



「お前は俺じゃなく違う
男と結ばれな。その
方が、お前だって幸せ
だろ」

『嫌よ』

「お前な…」

『あなただからよ』

「なら、俺が死ぬと
言ったら共に死ぬのか?」

『死ぬわ』



再び、景吾はまた瞳を
見開いた。



『その覚悟はあるわ』

「…バカな女だ」

『えぇ、吸血鬼を好きに
なったバカな女よ』



景吾はため息を吐いて
から短剣を差し出した。



「それで俺の心臓を
刺せ。それから、来る
ならお前も来い」

『わかったわ』



私は言われた通り、
景吾の胸を短剣で
貫いた。その後、私も
自分の首を貫いた。恋は
盲目とはよく言ったもの
よね。



次の日、1人の少女の
遺体と灰の山が見つけ
られた。



永遠の孤独に終焉を

(もう、あなたは独り
じゃない)









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テーマ「人外ファンタジー」
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