それは我儘?


『ちぃ…』

「結、どげんしたと?」



彼女である結が、
申し訳なさそうに
近寄ってきた。顔は少し
青ざめていた。



『怖い夢見た…』

「どげん夢だったと?」



結の体が微かだが
震えている。よほど
怖かったのだろう。



『…が…る夢』



結の声は小さく
呟かれ、聞き取れ
なかった。



「なんね」

『ちぃが…、いなくなる
夢…』

「!」



それは、結が一番
怖いだろう。俺が
結を1人残して
いく訳ない。しかし、
その逆を考えたらとても
怖くなった。



「安心しなっせ、俺は
どこにも行かんたい。
結を1人にさせん」

『…うん』

「むぞらしかね、
結は」

『…そんな事ない』



俺にしてみたら結構
破壊力抜群だ。
可愛すぎる。



『ちぃ』

「なんね」

『どこにも行かないでね』

「もちろんたい」



こんな可愛い結を
置いて、どこかに行ける
訳ない。



『ちぃ、大好き』

「俺もたい」



出来ることなら、
これからもずっと
結の側にいたい。
それは、我儘だろうか。




それは儘?

(違うよ、それは願い)









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