言いたくて


これの付属です。




別に忘れてはいない。
今日が蔵ノ介の誕生日
だってことは、ちゃんと
覚えている。ただ、
今日は模擬試験だった
から何もやれなかった
のだ。終ったら、大阪に
直行する予定でいる。
あの聖書のクセに
寂しがり屋の彼氏の
所へ。



『じゃ、オカン。行って
くるわ』

「白石くんによろしゅう
言うとって」

『おん』



今日が終るまで向こうに
着くだろうか。多分、
今頃オサムちゃんが
パーティーでも開いてる
んだろうな。…羨ましい。



『…っと、今9時か。
電車で約2時間…』



間に合うかな。



『…間に合った』



今、蔵ノ介ん家には
蔵ノ介だけらしい。
そう、妹ちゃんから
聞いていたな。あ、
メール送らないと。



To 蔵ノ介
Sub 蔵ノ介へ

誕生日おめでとう



『送信、っと』



それから数分後に携帯が
鳴った。



『はい、もしm「遅い」



第一声がこれとは何だ。



「…忘れた思たわ。
しかも、メール…」

『文句あるんか、こっち
やって用事あってん』

「電話くらい寄越して
くれてもえぇやん」

『会えるしえぇかと…』

「会えるて…、今東京
やろ」

『今、大阪』

「…ハ?」



混乱したか?



『正しくは、蔵ノ介ん家
前』

「…ハ?」

『…寒い』

「ちょ、え!嘘!?」

『…帰る』

「待っとって!」



バタバタと携帯越しに
聞こえる音。相当
慌ててるな。



「結!」

『ぅお』

「…結や」

『おん』



これで完璧とか不思議に
思った。



『蔵ノ介、生まれてきて
くれておおきに』




直接いたくて

(君にありがとう)









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