鍵を失う


『白石』



名前を呼ばれただけで
ドキッとする。何故?



『あ、白石ゴメン。
ぶつかったよね?』



触れた所が熱くなる。
何故だ?誰か教えてくれ。



「で、ウチの所に来た
訳ね」

「せや、こういうんは
小春に聞くんが一番やろ」
「まぁ、蔵リン健気〜」

「女々しいの間違い
やって」



そう、この症状が起こり
始めてから彼女には
近付く事が出来ない。
否、近付こうとしても
避けてしまうのだ。何故
だかは、自分でも
サッパリ解らない。
だから、小春を頼るしか
ない。



「鍵が揃えば解ると
思うんやけどな」

「…鍵は揃っとると思う
けど」

「マジか」

「マジよ」



小春は解ったらしい。
俺にも教えてくれ。



「それは」

「それは?」

『恋やろ?』

「!」



この声…ッ!何で、
ここに彼女が!?



『理由、教えてあげよう
か?』

「頼むわ」

『それは、自分の気持ち
だよ』

「気持ち…」

『それも特別なね』



俺は彼女の笑顔の
おかげで心臓がうるさい。



『まだ、鍵欲しい?』

「鍵はもういらん」

『結論が出たんだね』



その通りだ。もう鍵を
集めるのは止めよう。
そして、彼女から結果を
聞くとしよう。




を失う

(代わりに得た物は
何だ?)



アトガキ
企画「垂直線、平行線」に提出しました。









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