待ち合わせ30分前


──今日は12月24日。
そう、クリスマス・
イヴ。去年の今日までは
この日を家族と過ごして
来たが、今年は違う。



『あ〜、コレじゃ
ない…。こっちかな?
…何か違う。…やっぱ、
コレ!』



そう、今年は蔵との
デートと言う予定が
入っていた。いつもより
早く起きて支度する。
髪を巻いてみたり、
買ったばかりの
ワンピースを卸して
みたり。



『これで大丈夫かな』



蔵がせっかくの
クリスマスだからって
本当はあった部活を
部長権限でなくした。
…といっても、オサム
ちゃんを脅しただけ
なんだけどね。



『よし、準備OK!』



さぁ、待ち合わせ場所へ
急ごう。時間はまだ余裕
だけど。アタシは、
カイロを持って外へ
出る。外は案の定
寒くて、やっぱり冬
だなぁって感じる。



『カイロ持って出て
良かった』



ウキウキで手とかは寒い
けど、蔵とのデート
だって考えると心の方は
暖かく感じるのは蔵
マジックなのだろうか。



『ちょっと、早かった
かな』



携帯で時間を確認すると
30分位待ち合わせより
早く着いた。まだ、蔵は
来てないんだろうなぁ。
何て、思ったアタシは
目を見開く事になる。



『……え』



あれって…。



『蔵ッ!?』

「結」

『早すぎるよッ!』

「何となく結が早く
来るんやないかなって
思た」



否、思ってでも早すぎる
って…。



『…風邪引いたらどう
すんの』

「そん時は結が看て
くれるんやろ?」



…ホント、綺麗な笑顔で
言うから何も言い返せ
ない自分が憎い。



「結、行こか」

『うん』

「あ」

『どうしたの?』

「雪や」



顔をあげると白い綿の
ような雪が降っていた。



『綺麗』

「ホワイトクリスマス
やんな」

『イヴだよ』



笑いながらアタシ達は
クリスマスで賑わう街
へと歩き出す。大好きな
人の隣で笑いながら。




待ち合わせ30分

(君と考えは一緒)




アトガキ
企画「プリムローズ」に
提出しました。









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