コートに落ちた汗


最後、もう何も聞こえ
なかった。何が起きたか
解らなかった。青学が
笑っているのに対して、
うちは…。立海は無言
だった。そこで悟った。
うちは負けたのだと…。
コートに佇むうちの部長。



『幸村…』

「倉田、行ってやれ」


参謀……。アタシは
コクりと頷いて会場の
手すりを飛び越え、
コートへ降りた。



『幸村…』

「ごめん……。俺、負け
ちゃった…」

『…うん』

「三連覇できなかった」

『…うん』

「終っちゃったね…、
俺達の夏も…」



コートに一つ、キラリと
光った汗が落ちた。



『…泣けばいい』



泣いてしまえばいい。
泣いて忘れてしまえば
いい。ムリだけど…。
しょうがない事だけど。



「…結。ごめん…」

『もう謝らなくていい、
行こう』



真田達の所を指差した。
辛そうな顔で笑った
幸村。



「うん、行こうか…」



真田達の所へ行っても
辛そうな笑顔。



『…何で』



あの時と同じように笑う
んだよ。何で、入院
してた時みたいに笑う
んだよ。



「…結?」



アタシは幸村の胸ぐらを
掴んだ。



『その顔やめろ!』

「「!!」」

『そんな顔すんな!』

「結…」



何で…、お前はいつも
いつも!



『いつも一人で抱え込む
んだよ!何で…』

「…」

『アタシもいる…、
真田も参謀も紳士も
詐欺師もガムも
ジャッカルも赤也だって
いるんだ…。少しは…』



アタシは幸村の胸に
触れた。



『お前のここの中ぶち
まけろよ…。アタシ達に
言えよ…。いつも一人で
何とかしようとすんな…』



何でアタシが泣きそう
なんだ。



「ごめん、結。
ごめん」



幸村の目からは一筋の
涙。夏が終わったのを
よく感じた。そして、
アタシは初めて幸村の
泣き顔を見た。





が滲むラケット

(そして僕らの夏が
終わる)




†アトガキ†
何か、幸村ごめん。
幸村を泣かせたかった
だけなんだ!









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