最大級の愛を君に


『〜ッ!』




夢……、夢か……。
怖かった。スゴく
怖かった。



アタシは、その場に
あったカーディガンと
携帯を掴み、アパートを
飛び出した。夢なんだ
から、気にすることじゃ
ないって解っている
のに、確かめられずに
いられなかった。公園に
着いて、携帯の電話帳
から幸村を探し出して
電話をかけたら驚かれた。



「結!?」

『…うん』

「どうしたの!?こんな
夜中に!?」

『怖い夢、見たんだ…』

「…今、何処にいる?」

『公園』



そう言ったら、そこから
動くなって怒られた。
どうやら来てくれる
らしい。しばらくして、
ふと目の前に影が
出来た。顔をあげると
そこにいたのは──



「結!何考えてる
んだ!心配するだろ!
解ってる!?結は
女の子なんだよ!?」



解ってるよ。でも、
怖かったんだよ。



『幸村…、ごめん…』

「……寿命が縮むと
思ったよ。良かった。
無事で良かった」



幸村はアタシを優しく
抱き締めてくれた。その
優しい温もりがとても
心地よかった。



「そういえば、怖い夢
見たんだよね?」

『…うん』

「どんな夢か、教えて
貰っても良いかな」

『幸村が…』

「俺が?」

『アタシの前からいなく
なる…、夢…』



アタシが、大声で
呼んでも振り返らず、
手を伸ばしても届かず
掴めなかった。



『スゴく怖くなった
んだ…』



本当にいなくなるんじゃ
ないかって、スゴく不安
だった。だから、いなく
なっていないって実感が
欲しかったんだ。



「俺は、何処にも
行かないよ。結を
置いていく事なんて
俺には出来ない」



幸村は、アタシを抱き
締めながら、優しくそう
囁いた。



『幸村…』

「名前で呼んでよ、
結」

『精市…、アタシを
置いて行かないで、
ね…?』

「うん、大丈夫。置いて
なんか行かない。俺は、
結が傍にいてくれる
だけで良いんだ。だから
頼ってくれて嬉しかった
んだよ」



顔をあげると、目の前に
精市の綺麗な笑顔が
あった。精市はアタシの
おでこに優しいキスを
一つ落とした。



「結、俺と一緒に
暮らそうか?」



精市の突然の発言に
驚いたが、アタシは
それを断るわけがない。
笑って頷けば、また抱き
締めてくれた。




最大級の

(君の優しい温もりに
包まれて)









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テーマ「人外ファンタジー」
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